BtoB製造業のデジタルマーケティング「成功と失敗するつまずきポイント」

BtoB製造業のデジタルマーケティング成功・失敗ポイント

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、BtoB製造業の営業やマーケティング活動のデジタル化(デジタルマーケティングの活用)が加速している。営業・マーケティングのデジタルトランスフォーメーションともいえるだろう。

今後、この流れはますます加速していくと考えられ、弊社にも日々、様々なご相談が寄せられている。その中で、先日、下記のようなご相談があった。

製造業(BtoB):デジタルマーケティングのプロジェクトチームを発足しようとしていて、デジタルマーケティングの成功事例・失敗事例を知りたい。
(2020年5月27日 製造業 F社 Oさん)

そこで、今回のコラムでは、BtoB製造業のデジタルマーケティングにおける成功のポイントと、よくつまずく失敗のポイントをご紹介しよう。業種・業界・顧客特性・商品特性・社風などさまざまな状況が影響するが、よくあるポイントとしてご紹介する。

BtoB製造業のデジタルマーケティング「6つの成功ポイント」

最初に、成功のポイントをご紹介する。ご紹介する6つのポイントは、弊社のお客様において、デジタルマーケティングをうまく進められている企業の共通点を洗い出したものだ。御社でも、抜けているポイントがないか、確認していただければと思う。

デジタルマーケティングの範囲を決めること(ゴールを決めること)

成功のポイントの1つ目は、「デジタルマーケティングの範囲・ゴール」を決めることだ。BtoB製造業の場合、BtoCとは違い、そのほとんどの製品は、デジタルだけで売れる(デジタル完結する)ことはない。顧客の要望を聞いて提案をする以上、かならず、営業シナリオのどこかの段階で人間が介在することになる。

そのため、どこかのタイミング(リアルとデジタルの境界線)で、営業担当者にバトンタッチする必要があるが、その「リアルとデジタルの境界線」を何にするか?を決めなければならない。

特にコロナ禍においては、訪問営業の回数削減といったことも営業部門は視野に入れなければならないため、「リアルとデジタルの境界線」をしっかり定義しておく必要がある。営業部門目線でみれば、「訪問回数を減らして売る方法」を仕組み化するためにデジタルマーケティングでどこまでやるか?を決めるということになる。

このデジタルマーケティングの範囲・ゴールを関係者(デジタルマーケター、営業部門、インサイドセールスなど)で共有することで、デジタルマーケティングの様々な施策のベクトルが「ゴール」に向くことになり成果もでやすくなる。

デジタルマーケティングのKPIをできるだけ少なくすること

成功のポイントの2つ目は、「デジタルマーケティングのKPIをできるだけ少なくすること」だ。

上述した「デジタルマーケティングの範囲・ゴール」をKGIとした時、そのKGIを効率よく達成するための効果指標がKPIとなる。そのKPIが無数にある場合、たくさんのKPIの改善をしなければならなくなり、その分、リソース(時間や予算、人材)を割くことになる。

しかし、最小限のKPIに設定されていれば、リソースは最小限でよく、コスト削減とスピードアップが実現できる。そのため、KGIを達成するためのKPIは最小限になるように設計しよう。

小さな成功体験を積み重ねて徐々に社内啓蒙をすること

成功のポイントの3つ目は、「小さな成功体験を積み重ねて徐々に社内啓蒙をすること」だ。

BtoB製造業に限らず、デジタルマーケティングはコンテンツ作り、ITインフラの整備など、それなりに時間がかかる(だからこそ早くやるべきであるが)。そのため、リアルの営業が強い社風がある場合、デジタルマーケティングを始めた頃は、社内の風当たりが強いことが多い。例えば、「上司・役員がデジタルマーケティングを理解しない」「他部門がデジタルマーケティングのコンテンツ作りに協力しない」などである。

こういった風当たりを解消していくには、小さな成功体験を積み重ね、「数値」で成果を証明するのが最も近道である。だからこそ、いきなり大きな成功を狙わず、コツコツと成功を積み重ねていくことも重要である。小さな成功が積もり積もって、気がつけば大きな成果になっていたというのが理想的だ。

デジタルコンテンツ作成のスピードを高める体制を事前に作る

成功のポイントの4つ目は、「デジタルコンテンツ作成のスピードを高める体制を事前に作る」だ。

デジタルマーケティングは「デジタルコンテンツの作成」が日々の業務となるが、そのコンテンツ作成のスピードを高めていかなければ、ゴールを達成するまでの時間が長期化する。そのため、できる限り、デジタルコンテンツ作成のスピードを高める体制を事前に作っておこう。

まず、コンテンツの原稿作成であるが、ライターをどうするか検討しておこう。社内でライティングする場合はその担当者のライティングスキルも事前に確認できたらいいだろう。外部ライターを使う場合は、製品や業界特性に詳しいライターを探しておくといいだろう。

コンテンツのチェックについては、誰がチェックするか?チェックの担当者はなにをチェックすればいいのか?チェックのフローはどうするか?を決めておこう。また薬事法などが関連するようなコンテンツの場合は最低限、法律の内容を理解し、修正だらけのコンテンツにならないようにするのも重要だ。

コンテンツの公開(Web化やメール配信)については、公開のフローを確認し、公開に必要な費用はどのくらいか、時間はどのくらいかかるのか?担当者にどう依頼すればいいのか?を事前に確認しておこう。

デジタルマーケティングを始めてから、こういったことをやっていては、コンテンツの作成スピードが遅くなり、効果が出るのも遅くなる。

デジタルマーケティングの効果シミュレーション

成功のポイントの5つ目は、「デジタルマーケティングの効果シミュレーション」だ。

自社のWebサイトを活用して新規リードを獲得する、MAを導入して新規案件を作るといった活動をする場合、実際にどの程度の数値が期待できそうかを事前にシミュレーションしておこう。

Webサイトを活用する場合には、自社製品に関連する検索市場規模はどのくらいあり、その市場規模から毎月どのくらいのリードが獲得できそうか?をシミュレーションしておこう。

また、MAなどを活用する場合は、自社の社内の名刺データは何枚くらいあり、MA活用により毎月どのくらいの案件創出ができそうか?をシミュレーションしておこう。

こういったシミュレーションをすることにより、デジタルマーケティングの目標に対して実現性があるのかどうかを事前に判断できる。仮に実現性が低い場合は、デジタルマーケティング戦略を見直し、どういうWebサイトにすべきか、どういうMA活用にすべきかを再検討できる。

デジタルマーケティングのゴールに対して、実現性がない戦略であれば、いくらデジタルコンテンツを作っても、達成はできない。まさに負け戦である。そうならないように、シミュレーションをしておくことは重要である。

デジタルでのWeb商談の進め方を具体化しておくこと

成功のポイントの6つ目は、「デジタルでのWeb商談の進め方を具体化しておくこと」だ。

特にコロナ禍では、リードに訪問して提案するという、訪問営業がやりにくくなる。逆説すれば、リードに「提案して欲しい」と言われない限り、商談が進まないということだ。

そのため、デジタルでの商談作りとWeb商談の進め方が非常に重要なポイントになる。いくらWebサイトやメールを充実させても、この仕組みがないと「売る」ことができなくなるだろう。

どうすれば、リードから「提案して欲しい」と言われるのか、、それをWebサイトやMAを使ってどう実現するのか、その仕組みを御社は考えておかねばならない。

BtoB製造業のデジタルマーケティングの失敗する4つのつまずきポイント

次によく失敗するつまづきポイントについてご紹介する。ご紹介する4つのポイントは、弊社のお客様がデジタルマーケティングを進める中で、よくつまずいているポイントを洗い出したものだ。御社でもこの4つのポイントでつまずかないか、事前に確認していただければと思う。

コンテンツ作りの継続性(ネタがない)

失敗のポイント1つ目は「コンテンツ作りの継続性・ネタの継続性」だ。

BtoB製造業でよくありがちなのは、「デジタルコンテンツとして出せる情報に制限がかかる」「常に自社目線・自社事情のコンテンツばかり」といったコンテンツ作りが展開されることが多い。

「デジタルコンテンツとして出せる情報に制限がかかる」というのは、競合に見られたくない、営業が現場で説明することがなくなってしまうといった理由からデジタルコンテンツ作りが止まってしまうのである。しかし、本質的な部分で言えば、もともと営業をデジタル化するというのが狙いであるため、「営業が現場で説明することがなくなってしまう」というような理由は明らかに矛盾しているのである。

「常に自社目線・自社事情のコンテンツばかり」というのは、デジタルコンテンツが常に自社目線(自社の製品の特長や仕様についてのみ)のコンテンツという意味だ。これでは、新製品や製品改良でも行われない限り、新しいコンテンツは生み出せない。

上記はよくありがちな例であるが、こういったことが発生すると、デジタルコンテンツ作りの継続性は失われ、打ち手がなくなってしまう。その結果、デジタルマーケティングが「ほったらかし状態」になる。

デジタルコンテンツのライティングスキル

失敗のポイント2つ目は「デジタルコンテンツのライティングスキル」だ。デジタルマーケティングのコンテンツは主に、Webコンテンツとメールコンテンツに大別できる。

Webコンテンツでは、SEOライティングのスキルが必要で、そのスキルがないと、WebサイトにSEOによる集客ができない。メールコンテンツでは、メールライティングのスキルが必要で、そのスキルがないと、MAからメールを配信しても、開封・クリックをしてくれない。

そのため、デジタルコンテンツのライティングスキルには、(1)自社製品に詳しい人間によるライティング、(2)SEOやメールライティングに詳しい人間によるライティングの2つが融合しなければならない。この融合が難しく、つまずくケースが多い。理想的なのは、自社製品(技術情報や特長、仕様)に詳しく、かつ、SEOやメールライティングにも詳しい担当者を育成することである。

根拠のないKGIを設定しないこと

失敗のポイント3つ目は「根拠のないKGIを設定しないこと」だ。

デジタルマーケティングを始めるにあたり、デジタルマーケティングの目標数値は、売上から逆算され、こういう成果を出しなさいと言われるケースが多い。しかし、その目標数値は本当に達成の実現性があるのだろうか?そこに根拠はあるのだろうか?

これだけの売上が必要だからこうしなさいというのは、経営者から見れば、必要不可欠なことであるが、デジタルマーケティングにも、市場規模は当然ある。その市場規模以上の売上を期待されている場合、どうすれば市場を広げることができるか?そのための営業シナリオはどうすべきか?を考え、その上でWebコンテンツ作り、メールコンテンツ作りに落とし込まなければならない。

デジタルマーケティングのKGIを大きくすればするほど、必要な市場規模も大きくなり、その結果、必要なデジタルコンテンツの数も増え、工数・リソースも増える。この関係性を理解しないまま、とにかく数値だけでKGIを設定すると非常に危険である。

このKGIの決定権は経営陣やマーケティングの責任者にあるため、その責任者が責任を持って算出し根拠をつけて決定しなければ、現場で施策をうつマーケターたちはいくら苦労しても目標達成できないと嘆くことになる。

有象無象の集客を実現しても意味がない

失敗のポイント4つ目は「有象無象の集客を実現しても意味がない」だ。

BtoB製造業では、自社のWebサイトの集客用キーワード(SEOキーワード)がマニアックであるケースが多く、非常に集客に悩むことが多い。そのため、広告に頼ることになる。

しかし、デジタル広告はBtoB、BtoCも同じインターネット上の広告の仕組みであるため、自社のターゲットに絞った広告施策が非常にやり辛い。製品がマニアックになればなるほど、広告のターゲティングが難しくなる。

こういった「集客のしにくさはどうか?」を事前に把握しておかなければ、集客数という数字にだけ注目されてしまい、有象無象の集客にお金を使うことになってしまう。

自社のWebサイトに毎月1万人の人がくるが、問い合わせは1件というWebサイトと、毎月100人しかこないが、問い合わせが1件というサイトでは、どちらが効率的か?ということだ。毎月1万人来ているサイトでも、有象無象でなければよいが、そうであるなら、その集客は全く意味を持たないことになるだろう。

BtoB製造業のデジタルマーケティングの成功・失敗ポイント

以上、BtoB製造業のデジタルマーケティングの成功・失敗ポイントをご紹介した。御社でもこれから営業やマーケティングをデジタル化するのであれば、ご紹介した成功のポイントや失敗のポイントを参考に、事前に対策を打っておくといいだろう。


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