SEO対策の契約でよくあるトラブルを分析したら6つのパターンがあったので防止策を考察してみた

SEO契約のトラブルを防ぐためにSEO会社がすべきこと
Last Updated on 2023年2月18日 by 荻野永策

WEBマーケティングにおいて、SEO対策は集客力を強化するために欠かせないものであり、その重要性は周知の事実である。当然、SEO対策がうまくいけば、集客という意味では大きな効果をもたらすことは間違いがなく、さらに、そこからのリード獲得の可能性も非常に高くなる。

しかし、それがゆえに、SEO対策に対する期待度が高く、その結果、SEO対策の契約トラブルも多いようである。契約したけど順位が上がらない、アクセス数が増えないなど、そのトラブル内容は様々である。

そこで、今回のコラムでは、実際にあったSEO対策の契約トラブルを「弁護士ドットコム」に掲載されている事例から分析し、そのトラブルのパターンと注意すべき点や防止策を考察する。これから契約を検討している方、さらにはSEO対策を生業としている方はぜひ参考にしていただき、トラブルを防ぐ事前策の立案に活かしていただければ幸いだ。

なお、事前に注意点がある。まず、私は弁護士ではないため、私にトラブルを相談されても解決することはできない。あらかじめご了承いただきたい。

また、このコラムは、SEO対策の契約トラブルを防止する事前策を検討していただくために公開している。SEO対策そのものを否定することや、SEO対策を行っている会社を否定するような意図があるわけでない。その点は誤解されぬよう、ご理解いただきたい。

SEO対策のトラブル事例の参考サイト

今回、SEO対策のトラブル例を参考にするのは、下記の弁護士ドットコムである。

弁護士ドットコム
https://www.bengo4.com/

このサイト内に、2016年1月現在、「法律Q&A」というサービスがある。そこでは、法律に関する様々な相談事が日々投稿されているが、その中に「SEO対策」に関する相談が投稿されている。

法律Q&Aのキーワード検索にて、「SEO対策」で検索すると、いくつも相談事がヒットし、その内容は様々である。このたくさんある相談の中から、特徴的かつよくありそうな6つのトラブルパターンを選定し、ご紹介していきたい。

それでは早速ご紹介しよう。

パターン1「上位表示すると言いながらできなかった」

事例ページ
https://www.bengo4.com/saiban/1135/1268/b_323251/

事例ページからの引用

約90万円のSEO対策のソフトの昨年リース契約を結びました。希望のキーワードを絶対1ページ目に出るようにすると勧誘時にいっていましたが、いざ導入してみても100位付近をウロウロするだけでした。

最も多いと思われるトラブルの実例といえる。営業トークで「絶対上位表示する」などと言いながら、契約するとできなかったというトラブルだ。

ポイントは、「希望のキーワードで絶対1ページ目に出る」という勧誘(営業トーク)である。これがトラブルの要因になっている。そのため、この場合は、契約前に下記のパターンについてよく話し合っておくとトラブルを防ぐことができる。

(1)希望のSEOキーワードで上位表示できた場合
(2)希望のSEOキーワードで上位表示できなかったがアクセス数が増加した場合
(3)希望のSEOキーワードで上位表示できず、アクセス数も変わらない場合
(4)希望のSEOキーワードで上位表示できず、アクセス数が減った場合

特に検討すべきは、(2)から(4)で、このような場合、どうすべきか、十分検討し認識を合わせておこう。逆にSEO対策の会社もこのようなパターンがあることを想定し、顧客に説明しておくべきである。

パターン2「上位表示できないからキーワードを変更」

事例ページ
https://www.bengo4.com/internet/b_12206/

事例ページからの引用

某大手のSEO業者とあるキーワードで1年間契約をしました。絶対上がります。自信がありますと営業のメールにも書いてあり、信じてはいなかったのですが、頼んでみました。ただ、半年以上たっても成果が上がらないので途中解約したいと申し出たのですが、無理だと言われました。その後、契約したキーワードだと難しいといわれ、泣く泣く別の対策キーワードに変更することになりました。

最初の営業トークは、パターン1と同じであるが、トラブルの種になっているのは、SEOキーワードの変更である。SEOキーワードを変更して、お互い納得できるならそれでよいが、後出しじゃんけんのようにSEOキーワードを変更されると、納得いかないことも多いだろう。

このようなトラブルを防ぐには、キーワードの変更の可能性があるなら、候補キーワードを決めておくことが重要だ。

第一希望キーワード、第二希望キーワードのように、希望するSEOキーワードを相談して決め、その上で、第一希望がダメだったら第二希望というように、変更可能なように事前に調整しておくのである。こうすれば、お互い納得できるだろう。

SEO対策の会社も、SEOキーワードの変更の可能性があるなら事前に説明し、上記のように候補キーワードを一緒に検討するとよいだろう。

パターン3「上位表示できない上にアクセス数が減少」

事例ページ
https://www.bengo4.com/internet/b_12206/

事例ページからの引用

SEOの業者から「指定キーワードを検索結果で必ず1位にする」との営業電話で、1年契約、一括で先に支払いをしました。ところが、半年近く経った今も検索結果は圏外のままで、(途中の指示で、ホームページの修正はしましたが変わらず…)契約前よりもアクセス数が落ちてしまい、途中での解約を考えております。契約書には「順位の保証は無い」とあり、契約前にも上位表示にならなかった場合の対応を確認したのですが、「業界大手のため必ず1位、もしくは上位にできます」という口頭での回答を信じてしまいました。

パターン1の(4)で紹介したケースにあたる事例だ。

このようなトラブルを防ぐには、アクセス数が減る可能性もあることを互いに認識し、その上で、アクセス数が減った場合の対処方法を検討しておくことも重要だ。

SEO対策してアクセス数が減るというのは、おかしな話であるが、外部要因も含めて十分あり得る話である。

分かりやすく言えば、たとえば、「時」によるアクセスの減少である。BtoBサイトなどは、年末年始はアクセスが大幅に低下する。これは、もともとアクセスの少ないタイミングだからだ。このような場合、SEO対策してもアクセス数は減る。

逆に、SEO業者がSEOスパムのような行為を行い、検索エンジンからペナルティーを受けてしまい、アクセスが減るというようなことも考えられる。この場合は、順位は上がることもなく、当然アクセス数も減少する。

このように、要因はいろいろ考えられるため、要因に合わせて対処を考えておこう。私の思いつく要因としては下記のようなものが考えられる。

(1)アクセスの少ないタイミングで効果分析した
(2)競合が強力なSEO対策を行ってきた
(3)サイトの更新などを怠り、評価が下がった
(4)昔のSEO対策が残っていて、それが足を引っ張っている
(5)検索エンジンからペナルティーをくらった
(6)何らかの理由で検索回数が全体的に減った

このほかにも保有するサイトの状況や今までのサイト運営やSEO対策の経緯などによって、いろんな要因があるので、想定できることは想定し、事前に話し合っておくと良い。

SEO対策の会社も、アクセスが減る要因をチェックシートなどにして、事前に説明しておけば、少なくとも自社の責任においてアクセス数が減ったとは言われにくくなるのではないだろうか?

パターン4「上位表示するための改善が行われない」

事例ページ
https://www.bengo4.com/roudou/1104/b_272847/

事例ページの内容のまとめ

3ヶ月以内に上位表示させるという営業トーク。信用しなかったが、もしできなかったらリンクの追加や新しいコンテンツの納品を行い上位表示されるまで責任を持つという説明があった。それならということで、契約したが、実際はリンクの追加や新しいコンテンツの納品などは行われず、上位表示されない。当初の約束を守ってくれない。

パターン1と営業トークは似ているが、「もし上位表示できなかった場合の改善策」が明確になっており、それが要因でトラブルになっている。

このようなトラブルを防ぐには、「上位表示されなかった場合の対処」はいつからどういうタイミングで実行されるのか?を互いに確認しておくことが重要だ。

例えば、「3ヶ月間、10位以内に一度も入らない場合は、こういう対処を毎月月末に行い、こういう納品物を納品する」という感じである。要するに、対処の内容をより具体化し、納品物として何が得られるのか?を取り決めておくのである。

こうすれば、「上位表示されなかった場合の具体的な対処策」が顧客側もわかるため、トラブルを防ぐことができる。SEO対策の会社も、納品物のサンプルを事前に提示するなどすれば、顧客も納得感が生まれ、進めやすくなるのでは無いだろうか?

パターン5「営業トークのSEO対策の内容と実際の内容が違う」

事例ページ
https://www.bengo4.com/roudou/1104/b_247178/

事例ページの内容のまとめ

契約前にSEO対策の業務内容について十分な説明を受ける(こういうことをやりますと具体的な内容を説明される)。しかし、実際に契約後内容を確認すると作業内容が素人レベルでプロの作業とは言えない。

必ず上位表示させるというようなトークは無いものの、事前に言っていたSEO対策の業務内容と実際の業務内容が違うというトラブルである。このようなトラブルを防ぐには、契約前に説明されている業務内容の成果物のサンプルを実際に見せてもらうことである。

場合によっては、少しだけ費用を払い、自社専用にコンテンツ制作やデザインを行ってもらい、自社の納得できる品質を上回っているかを確認することも重要だ。要するにトライアルで事前に確認するのである。

こういうトライアルのような段階を踏んでいれば、内容の不一致が起きることがなくなる。SEO対策の会社から見ても、トライアルでも有料なので、損をすることは無い。

パターン6「成果報酬型SEOで契約したもののGoogleペナルティー」

事例ページ
https://www.bengo4.com/internet/1078/b_332910/

事例ページから一部引用

開業時にSEO業者と契約し、ある特定のキーワードで上位表示された場合にのみ課金されるという契約です。当初はある程度結果も出ていて、それなりの集客効果がありました。あるときにgoogleからメールが来て、『あなたのサイトがgoogleの規約に違反するようなことをしているため、手動ペナルティを発動する』と言われました

成果報酬型のSEO契約であるため、成果が出なければ料金は発生しないため、非常にわかりやすい契約と言える。しかし、SEO対策の会社が、成果を求めるあまり(責任感の表れ)、逆効果になってしまったという形だ。

このようなトラブルを防ぐには、成果報酬の料金体系の確認だけでなく、逆効果(ペナルティー)になってしまった場合の対処や料金体系についても検討しておくべきだろう。特に、ペナルティーから回復する手順を事前に決めておくことは重要である。

成果報酬なのに逆効果ってあるの?と考えるかもしれないが、それは十分起こり得る。そもそも、SEO対策の会社は、「必ず成果の出るSEO対策」という方法論を確立しているわけでは無い。なぜなら、(1)キーワードによって競合が違う、(2)対策するWEBサイトの評価もそれぞれ異なる、(3)Googleなどの検索エンジンは常にその仕組みを変更しているといった理由があるからだ。

「上位表示される可能性を高める支援」をすることはできても、「絶対に」という保証はできないのである。その上で、成果報酬でSEO対策を進めるため、どうしてもやりすぎてしまうというようなケースがあり、それがペナルティーにつながっている。

こういった背景を成果報酬の契約時にもしっかりと説明し、互いに納得した上で、成果報酬でSEO対策を進めよう。そうすれば、ペナルティーを受けても、想定内の事態として対処できる。

加えて、事前にペナルティーからの回復方法を打ち合わせておけば、安心感も違うだろう。

6つのSEOトラブルパターンから学ぶトラブルの防止策まとめ

以上、6つのケースをご紹介した。ここから下記のような防止策を学ぶことができる。

防止策1「上位表示できなかった場合を考えておくこと」

下記4つの場合において、どうするかを事前に書面などでかわしておくこと。また相談して認識を合わせておくこと。

(1)希望のSEOキーワードで上位表示できた場合
(2)希望のSEOキーワードで上位表示できなかったがアクセス数が増加した場合
(3)希望のSEOキーワードで上位表示できず、アクセス数も変わらない場合
(4)希望のSEOキーワードで上位表示できず、アクセス数が減った場合

防止策2「SEOキーワードの変更のルールを決める」

上位表示できず、SEOキーワードを変える場合は変更ルールを決めておくこと。第一希望キーワード、第二希望キーワードのように、事前に打ち合わせしておけば納得感も違う。

防止策3「契約後アクセス数が減った場合の対処を考えておくこと」

アクセス数が減る要因はいろいろあるので、要因について認識を合わせておくこと。下記はその一部の例である。

(1)アクセスの少ないタイミングで効果分析した
(2)競合が強力なSEO対策を行ってきた
(3)サイトの更新などを怠り、評価が下がった
(4)昔のSEO対策が残っていて、それが足を引っ張っている
(5)検索エンジンからペナルティーをくらった
(6)何らかの理由で検索回数が全体的に減った

その上で、SEO業者の責任においてアクセス数が減ったことが確認できたら、回復のための手順を決めておくこと

防止策4「改善業務の内容と納品物を確認すること」

必ず上位表示できるという保証はないので、上位表示できない場合は、どのタイミングでどういう業務を行い、どんな納品物があるのか?を事前に確認しておくこと。

防止策5「SEO対策の業務内容のサンプルを確認すること」

SEO対策の業務内容について説明を受けたら、その業務に関連するサンプルを提示してもらうこと。ライティング力、デザイン力などをしっかり確認しておくこと。トライアル(有料)でやってもらい、納品してもらうのも1つの方法である。

防止策6「成果報酬のリスクを認識しペンルティーの対処を決めておくこと」

成果報酬の場合は、そのリスクを認識し、その上でペナルティーを受けた場合の対処手順をしっかり決めてこう。料金についてもペナルティーからの回復にかかる費用など、明確にしておこう

SEO対策はいろんな「方法論」があり、そしていろんな「結果」を生む。そのため、あらゆるパターンを検討しながらトラブルに対して対処しなければならない。このコラムで紹介した以外にも、いろんな営業トーク、契約内容、そして結果があるだろう。それらすべての把握し、対処することはできないが、少なくとも何も想定せずに契約を進めたり、営業するよりはトラブルは減らせるはずである。

この記事を参考に、少しでもトラブルが減ることを願う。


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