BtoBマーケティング部門の立ち上げ初期でやるべき2つの効果的な施策

少ない工数・短期間で成果に繋がりやすい2つの施策

BtoBのマーケティングや営業のデジタル化が加速する中、マーケティング部門やマーケティングの専任チームを立ち上げ、BtoBマーケティングに本腰を入れ始めているBtoB企業が増加している。弊社にもマーケティング部門を立ち上げたが、どう進めていけばいいかわからないといったご相談を多数いただくようになった。例えば下記のようなご相談である。

新規でマーケティング部を設立する際の立ち上げ時に何をすべきか?DXが得意でなく、投資に懐疑的な会社風土に対して、またマーケティングを任された本人もDXの活用方法がわからない中で中期としてどのように成果を上げながらマーケティング部を確立していけばいいのか?
(BtoB製造業I社S様)

そこで今回のコラムでは、BtoBマーケティング部門やチームを立ち上げた際に、まず実施を検討すべき2つの具体的な施策をご紹介する。BtoBマーケティング戦略の立案、計画立案、KGI・KPIの可視化やPDCAなど重要な業務もあるが、それとは別に、「まず具体的な施策を実行し、社内評価を高める」ということを目的に、何をすべきか?を解説する。

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BtoBマーケティング部門の立ち上げの課題

本コラムの冒頭でもご紹介したように、BtoBマーケティング部門の立ち上げにおいてはさまざまな課題が発生する。その課題を簡単に整理しておこう。

投資に懐疑的かつ、短期間での成果を求められる

BtoBマーケティング部門の立ち上げにおいては、冒頭でもご紹介したご相談内容にもあるように、上層部が投資に懐疑的で、しかも比較的短期間での成果まで求められることが多いようだ。特に対面営業にこだわりのある企業ほどその傾向が強い。

デジタル活用などのマーケティングスキルの不足

BtoBマーケティングやBtoBの営業もコロナ禍、DXの影響もあり、デジタル化が加速している。そのため、新規に立ち上げたBtoBマーケティング部門においても、デジタル活用は検討すべき戦術の1つとなる。しかし、いままでデジタル活用の教育を受けたこともなく、上層部も的確な判断ができないといった場合、デジタルをどう使えばいいのか?をだれも策定できない。その結果、BtoBマーケティング部門のメンバーも自信がなく、「本当にこれでいいのだろうか?」と不安を抱えてしまうこととなる。

人材の不足・リソースの不足

1つ目の課題に連動するが、立ち上げ初期では、やはり人がいない。そのため、やれることにも限界があり、スピードの低下、業務過多による業務品質の低下などを招いてしまう。本来は戦略・計画があり、KGIやKPIが可視化されていれば、今やるべき業務がより明確になり、優先度をつけて業務推進できるが、立ち上げ初期はそれができないのである。

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このように立ち上げ初期では、3つの課題が大きく立ちはだかる。この結果、できるだけ少ないリソースで、しかも短期間で、何らかの「成果」を出さなければならないという状況に陥っていく。もしいつまでたっても成果がでない場合は、BtoBマーケティング部門の評価は高まっていかず、部門を確立していくことや人員増強なども期待できなくなる。

だからこそ、立ち上げ時のスタートダッシュが重要となるのだ。

まずは取り組んでほしい2つの施策

説明したような3つの課題を解決するためにはどうすればいいだろうか?その具体的な施策を2つご紹介する。この2つの施策は、どちらも、「比較的、少ないリソースで実行可能」で、「短期間で案件や商談のきっかけ(売上のきっかけ)」を作り出すことができ、さらに「デジタル活用のノウハウも少なくて済む」という施策だ。それではこの2つの施策の詳細をご紹介しよう。

顧客満足度調査(貢献度調査)からのクロスセル・アップセル

まず、1つ目は、「顧客満足度調査からのクロスセル・アップセル」だ。この施策の進め方の詳細を事例を交えながらご紹介しよう。

事例で取り上げる企業「IT企業A社」

A社は、グループウェアなどの社内の情報共有のツールを開発・販売するIT企業である。新規にマーケティングチームを創設し、マーケティング活動を展開することとなったが、経営陣が懐疑的で、営業部門も「マーケティングの人たちは何をやるんだろう・・」というような状況であった。しかし、既存の顧客リストが整理されていたため、その顧客リストから「新しい案件・商談」を作り出すべく、クロスセル・アップセルを狙えると判断し、顧客満足度調査を実施した。

顧客満足度調査のプロセス

顧客満足度調査は主に下記のようなプロセスで実施した。御社でもこのプロセスをヒントに施策を進めていただければと思う。

プロセス 主な内容
満足度調査の対象顧客を整理 既存顧客の中で、満足度調査を行う対象となる顧客をリストアップ。自社製品をアクティブに活用しているヘビーユーザを中心にリストアップ
満足度調査の目的と調査方法・調査内容を整理 満足度調査の目的は「既存顧客の情報共有に関する課題」を把握することとし、そのために「どういう調査方法が良いか?」「どんな質問をするか?」を設計。A社は対面での調査(ヒヤリングシート)とメールでの調査(アンケートフォーム)の2つの方法を実行した
ヒヤリングシート・アンケートフォームを作成 「既存顧客の情報共有に関する課題」を把握するためのヒヤリングシートとアンケートフォームを実際に作成。5問程度の質問とし、こういう聞き方をすれば課題把握ができる可能性があるというヒヤリングシートやアンケートフォームを作成
満足度調査の依頼文の作成 既存顧客に顧客満足度調査の依頼をしないといけないため、その依頼文を作成。対面調査用とメール調査用の2つを作成。
実際に顧客に依頼 依頼文を使って、実際に対象となる顧客に満足度調査の依頼を行う。
回答収集 対面調査の場合は承諾してくれた顧客にアポイントを取り、対面での調査を実施。メールの場合はアンケート回答の期限を設定し、期限までアンケート回答を待った。
集計 150件程度の回答を得て、回答内容を集計。
営業提案に展開 集計した結果、30件程度の「既存顧客の情報共有に関する課題」を把握することに成功。その課題を起点に、A社の製品でどのように解決できるのか?のソリューション提案書を作成。この業務は営業部門にも協力いただき、複数のソリューション提案書を作成した。
ソリューション提案書を既存顧客に展開 作成したソリューション提案書を既存顧客に展開。そこで複数の見積もり依頼を獲得し、営業部の売上に貢献することができた。当時、営業部門から、これ以上商談が同時期に発生するとリソースが足りなくなるという嬉しい悲鳴をお聞きし、マーケティングチームの取り組みが大きく評価された

この施策の成功のポイントは、「満足度調査」である。誰に、どのような方法で、どうやって依頼し、どんな内容を聞くか?によって、その後の営業展開が大きく変わってくる。ここが大きなポイントになるため、最初の段階でこのポイントをしっかり抑えるべく、何度も議論を重ねる必要がある。

また、この施策はソリューション提案書を作成するという工数はどうしても発生する。そのため、マーケティング部門だけでの作成が難しい場合は、営業部門の支援も必要になるだろう。このあたりは、初期段階でどこまで支援が得られるか、事前に調整しておく必要がある。

しかし、こういった施策で営業部門が「この施策は良かった!」と良い意味で「味を占める」と、再度同じようなことがしたいと相談が来るようになるだろう。スタートダッシュとしては良いスタートが切れる可能性がある。

過去の休眠リードから商談・案件のきっかけを作り出す

2つ目は、「過去の休眠リードから商談・案件のきっかけを作り出す」だ。この施策の進め方の詳細を事例を交えながらご紹介しよう。

事例で取り上げる企業「製造業B社」

B社は、建設資材・工事資材などを製造販売する製造業だ。コロナの影響によりアポイントが取れず、対面営業が困難となり、商談・案件創出ができなくなっていた。そんな状況で「デジタル活用」を検討し始めた。B社には過去に名刺交換した見込み客の名刺が多数存在したが、活用できていなかったため、過去の名刺データ活用から取り組み始めた。

名刺データから商談・案件を作るプロセス

名刺データから商談・案件を作るプロセスは下記のようなプロセスだ。御社でもこのプロセスをヒントに施策を進めていただければと思う。

プロセス 主な内容
名刺を収集 まずは社内に存在する名刺を全て収集し、見込み客リストを作成した。1000件以上のデータが集まり、十分な母数となった。
名刺データと売り込みしたい事業のマッピング 名刺データを見ながら、この見込み客にどの事業のどの製品を提案するか?を検討。ターゲットと製品の相性を確認し、提案する事業を決定。
社会課題からテーマを決定 ターゲットとなる見込み客の業界が抱えている社会課題を調査し、その社会課題の解決に貢献できた事例を社内で収集。見込み客に情報提供するコンテンツのテーマを決定した。
資料の作成 決定したテーマからパワーポイントで「社会課題を解決できた●の事例」という資料を作成。
セミナー化 「社会課題を解決できた●の事例」の資料を使ったオンラインセミナーを企画し、セミナー案内ページとセミナー案内のメルマガを作成
メルマガ配信 見込み客リストに対してセミナー案内メルマガを配信し、セミナーへの申し込みを受付る。
セミナー実施 合計で13社からの申し込みがあり、セミナーを実施。
セミナー後の個別相談 セミナー実施後、個別相談を行い、商談・案件のきっかけを創出

この施策の結果、営業部門からは「デジタルでこのようなことができるとは思わなかった」といった声をいただき、現在は毎月、こういった施策を継続的に実施し、案件・商談創出のきっかけづくりをマーケティング部門が行なっている。非常に良いデジタル活用のスタートダッシュができた事例である。

成功のポイントは、「見込み客の課題を事前にどう掴むか?」である。B社の場合は社会課題(業界課題)をデスクリサーチして「これではないか?」と把握することに成功した。御社でも事前にどこまで正確な課題を把握できるか、そこがポイントとなる。

施策自体は、名刺整理、メルマガ配信、セミナー実施と、多少時間はかかる可能性があるが、多額の投資が必要になるようなものでもないため、立ち上げ時に実施するには良い施策ではないかと考えている。

まとめ

このように、BtoBマーケティング部門の立ち上げにはさまざまな課題が発生するが、工夫次第では、「比較的、少ないリソース」で「短期間で案件や商談のきっかけ(売上のきっかけ)」を作り出すことができ、さらに「デジタル活用のノウハウも少なくて済む」という施策を展開できる。こういった工夫をまずは行いながら、ノウハウを蓄積し、御社なりのマーケティング戦略立案に活かしていただけたら幸いである。

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