BtoBマーケティングでは、様々な施策や手法を用いてリードジェネーレション(新規見込み獲得)を行い、リードナーチャリング(見込み育成)して営業部門と連携しながら、案件化・商談化・受注を獲得する。
しかし、BtoBの営業においては、リードジェネーレションやリードナーチャリングを実施し、営業対応したからといって、すぐに案件化・商談化・受注につながることは少ない。
例えば、自社Webサイトで資料請求リードを獲得し、その後、営業部門がフォロー営業し、営業対応したとしよう。しかし、営業対応するもアポイントがとれず、案件化・商談化しないということはよくあるのだ。
こういった場合、MQL(Marketing Qualified Lead)として提供したリードリストの確度が低く、フォローしてもSQL(Sales Qualified Lead)にならないということになる。つまり、一言で言えば、確度が低いのだ。
このようなマーケティング部門と営業部門の連携の課題はBtoBマーケティングにおいては様々な企業で発生している。実際に、弊社のアンケート調査でも下記のような回答があった。

このような課題を解決するには、リードナーチャリングの施策を強化すること(リードへの接触とアプローチの継続強化)と、本当に確度が高いのかどうかを見極め選別するリードクオリフィケーションの判断基準の設計が重要となる。
そこで今回のコラムでは、リードクオリフィケーションの判断基準の設計に焦点を当て、リードクオリフィケーションの概要と、確度が高いかを見極めるリードクオリフィケーションの7つの判断基準についてご紹介する。特にマーケティングオートメーション(MA)のスコアリング機能を活用した判断基準の設計についてご紹介する。
リードクオリフィケーションとは?
リードクオリフィケーションとは、リードジェネレーション・リードナーチャリングで獲得・育成したリードの確度を見極めるマーケティング業務のことだ。様々なマーケティング施策・手法で獲得したリードに対して、購入の可能性があるのかないのかを見極めてリードを選別する。
当然、重要になるのは、見極めるための「判断基準の設計」である。BtoBの場合、会社の規模や信用度といった定量的なデータだけでなく、定性的なデータ(課題が明確なのか?その内容は?意思決定権者との繋がりは?など)が判断基準として設定されるケースが多い。
また、マーケティングオートメーション(MA)を導入している企業では、スコアリングのデータもリードクオリフィケーションの判断基準に設定にされる。
マーケティングオートメーション(MA)のスコアリングとは?
マーケティングオートメーション(MA)のスコアリングとは、リードの様々な属性を分析し、スコアリングしていく(点数をつける・加点する)ことをいう。例えば、リードの役職、会社規模のような基本的な属性で加点したり、最近の行動(セミナーに参加した、製品の概要資料をダウンロードした、料金ページを見た)を属性として加点する。
このような仕組みのため、スコアが加点されればされるほど、「確度が高いのではないか?」と判断でき、リードクオリフィケーションの判断基準の1つとして活用されるケースが多い。
マーケティングオートメーション(MA)のスコアリングについては、下記のコラムで機能の詳細と詳しい活用方法をご紹介しているので参考にしてほしい。
スコアリングによるリードクオリフィケーションの問題点
マーケティングオートメーション(MA)のスコアリングは非常に便利で有益な仕組みである。しかし、リードクオリフィケーションの判断基準としてメインに採用してしまうと、下記のような問題が発生する。
問題点1:「個人のスコアであること」
スコアリングは、マーケティングオートメーション(MA)に登録されているリード個人にスコアリングされる。そのため、リード個人のスコアが高いからといって確度が高いと判断するのは危険だ。なぜなら個人的な興味のみでスコアリングされてしまうケースがあるからだ。
たとえば、あるリードが個人的な興味で製品やサービスのページ(料金ページ、事例ページなど)を閲覧したとしよう。そういった場合、スコアはどんどん加点されるが、購入の確度は低いままである。
つまり、個人的な興味でもスコアは加点されてしまうため、スコアが高いかどうかだけで判断するのは危険なのである。
特に、料金ページや契約までの流れといったページは、スコアの加点度合いを高く設定してしまうケースがある。そうなると、スコアはどんどん加点され、個人的な興味であるのにスコアが高いといった状況に陥ってしまう。そのため、スコアリング設定は非常に難しいと言える。
問題点2:「購入のタイミングまではわからない」
スコアリングはリードの過去の行動などをベースにスコアを加点していく仕組みだ。そのため、スコアが高いか低いかを相対的に判断することはできる。しかし、「いつ買うのか?」の購入のタイミングまでを把握することはできない。そのため、スコアが高いからといって営業対応しても、まだ検討中と言われる可能性もあるのである。
このように、スコアリングは便利な機能ではあるが、リードクオリフィケーションから見れば、判断基準の1つに過ぎず、これだけで判断するのは非常に危険なのである。
だからこそ、信頼できるリードクオリフィケーションの判断基準を設計し設定しなければならない。
スコアリングだけじゃない!リードクオリフィケーションの7つの判断基準
それでは、どのような方法でリードクオリフィケーションの判断基準を設計すれば良いだろうか?商材や業界、リードの特性によって、様々な判断基準が設計できるが、ここでは、その具体例を7つご紹介しよう。
リードクオリフィケーションの累積分析と直近分析
ここでご紹介する判断基準は、「累積分析」と「直近分析」の2つから設計する判断基準だ。
「累積分析」は、過去のリードの行動を長期間にわたり分析し、スコアリングも活用しながら確度を判断する方法だ。逆に「直近分析」は、直近数ヶ月や数週間に絞ってリードの確度を判断する方法だ。
この2つの分析方法を組み合わせて、御社にぴったりなリードクオリフィケーションの判断基準を設計すると良いだろう。
リードクオリフィケーション方法「累積分析の2つの判断基準」
まずは累積分析についてその判断基準を2つご紹介しよう。
累積分析による判断基準1「個人スコア」
累積分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の1つ目は、マーケティングオートメーション(MA)の個人スコアだ。
上述した通り、問題点はあるが、やはり、スコアが高いとそれだけ接点が発生しているため、信頼関係も深まっている可能性が高いといえる。マーケティングオートメーション(MA)にリードが登録されてから、現在まで、スコアがどのくらい加点されているのか、確認してみよう。
累積分析による判断基準2「企業スコア」
累積分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の2つ目は、マーケティングオートメーション(MA)の企業スコアだ。上述した通り、個人スコアだけで判断するのは非常に危険だ。そこで活用するのが企業スコアだ。
企業スコアとは、企業そのものが持つ信用度を意味することもあるが、ここでいう企業スコアは少し意味合いが異なる。ここでいう企業スコアとは、リード個人が所属している企業から、どのくらいのWebサイトアクセスがあったのか?をスコアリングしたものだ。
例えば、株式会社ALUHAに所属しているリードAがマーケティングオートメーション(MA)に登録されているとしよう。そして、株式会社ALUHAのリードはリードAのみ、マーケティングオートメーション(MA)に登録されている状態だとする。
この時、株式会社ALUHAから自社Webサイトにどのくらいのアクセスがあったのか?を示すのが企業スコアだ。リードAの個人スコアが100点で、株式会社ALUHAの企業スコアも100点である場合は、株式会社ALUHAからのWebサイトアクセスはリードAのみと想定できる。
しかし、株式会社ALUHAの企業スコアが150点だとすると、50点分はリードA以外のアクセスということになる。このような場合、リードAが自部門(上司や部下、関係者など)に情報を展開し、製品やサービスの情報が株式会社ALUHA内に広まっている可能性を意味する。そのため、組織的に製品の購入を検討している可能性があり、確度が高くなるのだ。
だからこそ、企業スコアは組織的に検討しているかどうかの判断基準の1つとなるのだ。
リードクオリフィケーション方法「直近分析の5つの判断基準」
次に直近分析についてその判断基準を5つご紹介しよう。直近分析は、直近のスコアや行動を分析するため、「購入のタイミングを知る」判断基準になり得る。なお、「直近」は直近の期間を決めることになるため、過去1週間以内、過去1ヶ月以内など製品・業界特性に合わせて決定しておこう。
直近分析による判断基準1「直近のWebサイト訪問回数」
直近分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の1つ目は、直近のWebサイト訪問回数だ。直近の期間内において、リード個人とそのリードが所属する企業から、どのくらいサイトへのアクセスがあったのかをカウントする。
1回のアクセスで大量のWebページを見て回っているケースや、日を変えて何度も何度もアクセスしているケース、さらには、日を変えて何度も同じページを確認しているケースなどがある。こういった直近の行動と回数から、確度やタイミングを分析することができるだろう。
直近分析による判断基準2「直近のキーページ閲覧の有無」
直近分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の2つ目は、直近のキーページ閲覧の有無だ。上記の判断基準1と連動して分析すると良いが、直近のWebサイトのアクセスの中で、キーページのアクセスがどれだけあるかをリード個人と所属する企業のそれぞれで確認するのだ。
キーページとは、製品・サービスの購入に関して事前に確認する可能性のあるページだ。例えば、料金ページや導入・契約までの流れのページなどである。
こういったページをリード個人が見ているのか?そのリードが所属する企業からのアクセスが多いのかどうか?を確認する。そうすれば、確度や購入のタイミングを分析する基準になるだろう。
直近分析による判断基準3「直近のスコア合計」
直近分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の3つ目は、直近のスコア合計だ。直近の期間内において、リード個人のスコアと企業スコアがどのくらいかを分析するのである。
例えば直近1週間の個人スコア・企業スコアの合計が、他のリードに比べて高い場合は、そのリードはそれだけデジタル上で接点があったということになる。つまり、導入を検討している状態と言えるかもしれない。
直近分析による判断基準4「直近のコンバージョンの内容」
直近分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の4つ目は、直近のコンバージョンの内容だ。Webサイトからのコンバージョンはリードからの行動による意思表示であるため、確度とタイミングをはかる、非常に良い判断基準になる。
直近で、資料ダウンロードがあったのか、セミナー申し込みがあったのか、見積り依頼があったのか、そのコンバージョン内容を分析してみよう。そうすれば確度やタイミングを知るよい基準になるだろう。
直近分析による判断基準5「直近の同じ組織からのコンバージョン」
直近分析によるリードクオリフィケーションの判断基準の5つ目は、直近の同じ組織からのコンバージョンだ。BtoBでは、同じ組織の別リードからのコンバージョンが発生することが多々ある。
例えば、リードAが資料ダウンロードし、その後、リードAと同じ会社のリードBからセミナー申し込みがあったというようなケースだ。
こういった場合は、間違いなく組織・部門内で製品やサービス情報が展開されており、情報共有されている。確度が高い可能性があるといってよいだろう。
リードクオリフィケーションの7つの判断基準のまとめ
以上、リードクオリフィケーションの7つの判断基準をご紹介した。累積分析と直近分析に分けてご紹介したが、御社の製品やサービス、リードの特性に合わせて、7つの判断基準をうまく組み合わせながら、リードクオリフィケーションの判断基準を設計していただければと思う。
またリードクオリフィケーションはリードナーチャリングでスコアを高めつつ、リードとの接点を継続して作っていくことがベースとなる。そのため、マーケティングオートメーション(MA)を活用してリードナーチャリングする場合は、下記の情報も役立つだろう。
無料のPDF資料として配布しているので、興味ある方はぜひダウンロードしていただければと思う。
〜MA活用の効果を高めるメールマーケティングテクニック〜
https://homepage.aluha.net/contact/white-paper/#r18
(2019年7月26日 製造業H社のHさんからの回答)