このコラムでは、BtoBの営業戦略のPDCAの回し方とPDCAレポートのサンプルフォーマットについて解説する。営業リソースを効率よく活用する営業戦略を実現するためのPDCAの回し方プロセスについて解説する。
- 営業目標(KGI・KPI)の決め方
- 立案の前にやっておくべき競合・市場分析などの5つの分析
- 営業戦略の立て方(立案用パワポテンプレートと戦略俯瞰シートサンプル付き)
- デジタルも含めたBtoBの営業戦術一覧と戦術別の主なKPI例
- アクションプランの策定方法(エクセルテンプレート付き)
- PDCAの回し方(KPIツリーのテンプレート付き)
- デジタルを活用した戦略立案の具体例
- 営業デジタル化(営業DX)のメリット・ポイントと取組事例
この記事の目次
営業戦略のPDCAの回し方
営業戦略のPDCAサイクルは営業アクションプラン(営業計画)を遂行し達成すべきKPIを効率よく達成するために回す。そのため、営業アクションプラン(営業計画)が具体的でなければ、PDCAサイクルを回すことはできない。営業アクションプラン(営業計画)の立て方については、下記のコラムを参照いただけたらと思う。営業アクションプラン(営業計画)の立案がまだの場合は、本コラムを読む前に下記のコラムをご覧いただきたい。
PDCAサイクルは営業戦術のKPIを継続的に前後比較し改善することでサイクルとして回るため、主に下記のようなプロセスとなる。
- PDCAレポートのフォーマットとベースKPIの算出
- 営業アクションプラン(営業計画)に従い営業活動を展開
- 再度KPIを測定しベースKPIと比較
- 改善すべきKPIを選定し具体策を検討
- やるべきことを実行し再度KPIの計測へ
PDCAレポートのフォーマットとベースKPIの算出
営業戦略のPDCAサイクルを回すには、最初にPDCAレポートのフォーマットとKPIの計算方法のルール化、そしてベースKPIの算出を最初に行う必要がある。
PDCAレポートのフォーマット
PDCAレポートのフォーマットは、継続的に測定すべきKPIを可視化するレポートフォーマットのことで、KPIツリー(ロジックツリー)と呼ばれるレポートだ。エクセルやBIツールを使って作成されることが多い。営業戦略のKPIダッシュボードのようなイメージで、計測すべき数値を俯瞰できるレポートだ。例えば、下記の営業アクションプラン(営業計画)の場合で考えてみよう。

営業アクションプラン(営業計画)のサンプル
上記の営業アクションプラン(営業計画)のPDCAレポートのフォーマットは下記のようなイメージだ。

営業のPDCAレポートのフォーマット
このようなフォーマットを最初に作る必要がある。上記のサンプルフォーマットはエクセルで作成しているので下記よりダウンロード可能だ。
KPIの計算方法のルール化
PDCAレポートのフォーマットを作成したら、次は、KPIの計算・算出方法のルール化だ。KPIは数値化される必要があるため、数値の算出方法(どんなツールを使って、どのような条件・ルールで計算するか?)を細かく決めなければならない。例えば、上記サンプルにある「アクセス数」は、単位をPVにするのかUUにするのか、国内のみのアクセスにするのか、海外も含めるのかなどを決める。さらに、アクセス数といってもURLが無数にある場合はどの範囲のURLを計算対象にするのか?も決めていく。そういった細かいルールを決めなければ、毎回同じ計算方法でKPIを算出できなくなり、PDCAサイクルを正確に回せなくなるのだ。
このため、KPIの内容に合わせて、どんなツールを使ってどのような計算方法・ルールで計算するのか?を明確にして手順化しておこう。ルールはPDCAレポートのフォーマットにメモとして記載しておくと業務標準化をしやすくなる。
下記からPDCAレポートのフォーマットエクセルのサンプルがダウンロードできるので、御社でも活用できそうであれば活用いただけたらと思う。なおKPIについてはここで紹介しているKPIを入れてあるため、御社のKPIに合わせて自由に変更してほしい。
ベースKPIの算出
ここまでできたら、ベースKPIの算出だ。ベースKPIとは、PDCAサイクルのベースとなるKPIのことで、わかりやすく言えば、「現段階のKPI」のことである。PDCAサイクルは改善を繰り返すサイクルであるため、今のKPIを基準値にすることで、改善できているかどうか?営業活動に効果があるかどうか?を数値で確認できようになる。PDCAレポートのフォーマットに計算ルールに従い今の数値を入れておこう。それがベースKPIとなる。例えば下記のようなイメージである。

ベースKPIを入力したPDCAレポートのフォーマット
上記が今の実力値ということになる。これでPDCAサイクルを回す準備が整った。
- 営業目標(KGI・KPI)の決め方
- 立案の前にやっておくべき競合・市場分析などの5つの分析
- 営業戦略の立て方(立案用パワポテンプレートと戦略俯瞰シートサンプル付き)
- デジタルも含めたBtoBの営業戦術一覧と戦術別の主なKPI例
- アクションプランの策定方法(エクセルテンプレート付き)
- PDCAの回し方(KPIツリーのテンプレート付き)
- デジタルを活用した戦略立案の具体例
- 営業デジタル化(営業DX)のメリット・ポイントと取組事例
営業アクションプラン(営業計画)に従い営業活動を展開
PDCAレポートのフォーマットとベースKPIの算出が完了したら、営業アクションプラン(営業計画)に従い営業活動を展開しよう。実際に活動するのである。各KPIを高めるためにやるべきことを実行する段階だ。営業活動を展開しながら、次にKPIを測定する日時を決めておくと良いだろう。
再度KPIを測定しベースKPIと比較
営業活動を展開したら再度、PDCAレポートのフォーマットと計算ルールに従いKPIを算出する。ベースKPIと比較してどうなっているか?を計測するのである。例えば下記のようなイメージで比較する。

ベースKPIと比較するPDCAレポートのフォーマット
上記の例だと、アクセス数のKPIは向上している。サブKPIとしてSEO対策が成功しているためだ。しかし、サブKPIの誘導率が下がっているため結果的にCV件数も下がっている。
このように、ベースKPIがあると、活動の結果どうなったか?がよくわかるのだ。
改善すべきKPIを選定し具体策を検討
ベースKPIと比較したら「次何するか?」を決める。ここで、判断が3つに分かれることがよくある。
1つ目の判断は、悪化しているKPI(上記例だと誘導率やCV件数)を無視して、もともと計画している営業アクションプラン(営業計画)に従うという判断だ。当初計画を重視する場合はこの判断が採用される。
2つ目の判断は、悪化しているKPI(上記例だと誘導率やCV件数)の改善を重視するという判断だ。当初計画した営業アクションプラン(営業計画)を変えてしまうという判断になる。
3つ目の判断は、1つ目と2つ目の合体で当初計画した営業アクションプラン(営業計画)の実行と、悪化しているKPIの改善を同時並行で行う。両方同時に進める理想的な判断だ。
この3つの判断を自社のリソースやKPIの重要度を見ながら的確に判断し、次何するか?の優先順位を決め実行する必要がある。ここに「営業戦略のリソースの効率活用」という要素がある。KPIを見ながら優先すべきTODOを明確にし、やるべきことを選択してリソースを集中させよう。PDCAサイクルが回らない理由もこの判断が難しいという理由で回らないことが多い。やればやるほどTODOが増えていくためだ。
やるべきことを実行し再度KPIの計測へ
3つの判断からやるべきことを明確化したら、やるべきことを実際にやる。そして再度、日時を決めてKPIを測定し、ベースKPIや前回KPIとの比較を行う。これを繰り返すことで、営業戦略のPDCAサイクルを効果的・効率的に回すことができる。
- 営業目標(KGI・KPI)の決め方
- 立案の前にやっておくべき競合・市場分析などの5つの分析
- 営業戦略の立て方(立案用パワポテンプレートと戦略俯瞰シートサンプル付き)
- デジタルも含めたBtoBの営業戦術一覧と戦術別の主なKPI例
- アクションプランの策定方法(エクセルテンプレート付き)
- PDCAの回し方(KPIツリーのテンプレート付き)
- デジタルを活用した戦略立案の具体例
- 営業デジタル化(営業DX)のメリット・ポイントと取組事例
営業戦略のPDCAの回し方
以上、営業戦略のPDCAサイクルの回し方をご紹介した。
- PDCAレポートのフォーマットとベースKPIの算出
- 営業アクションプラン(営業計画)に従い営業活動を展開
- 再度KPIを測定しベースKPIと比較
- 改善すべきKPIを選定し具体策を検討
- やるべきことを実行し再度KPIの計測へ
PDCAサイクルのポイントをまとめると下記の通りだ。
- 毎回同じPDCAレポートを使い計算方法も同じにすること
- 3つの判断からどうするかをリソースを見ながら的確に判断すること
- 目標KPIに達成するまで諦めずに継続すること
- 同じ過ちを繰り返さないように活動内容は記録しておくこと
本コラムでご紹介したサンプルのPDCAレポートフォーマットは下記からダウンロードできるので、参考にしながら御社のPDCAサイクルに活用してほしい。