今回のコラムでは、BtoB企業のマーケターのために、BtoBマーケティングの基本について、わかりやすく解説する。マーケティングとは何か、BtoBマーケティングとは何か、BtoCマーケティングや営業戦略との違いは何か、どんな活動をするのか、戦略・計画を立案するプロセスは何か、始め方・立ち上げ方、どんな手法があるのか、成功事例などを解説する。
PDF資料の主な内容
- 戦略とは何か?
- マーケティング戦略立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」とは?
- BtoBマーケティング戦略の立案プロセスとは?
- BtoBマーケティング戦略を作戦に分解するには?
- 作戦の使命を達成する戦術を選定するには?
- 戦術に対して計画を策定するには?
- BtoBマーケティング戦略の俯瞰図サンプルと戦略立案例
- BtoBマーケティング戦略のデジタル活用の取り組み例
- BtoBマーケティング戦略の効果を可視化するKPIツリーサンプル
BtoBマーケティング(B2Bマーケティング)とは?
BtoBマーケティングとは
BtoBマーケティング(B2Bマーケティング)とは、企業対企業(企業間取引、B2B)に特化したマーケティングのことで、「企業に対して顧客価値を創出する戦略や仕組み、そしてそのプロセス」のことである。BtoBマーケティングを4Pフレームワークに当てはめて定義すれば、BtoBマーケティングとは「企業に対して、売れる商品を作る、売れる場所で売る、売れる値段で売る、売れる売り方で売る」ための戦略やプロセス・活動となる。
BtoBマーケティングの特徴
BtoBマーケティングは、BtoCマーケティングと比較すると、下記2つの特徴がある。
- 企業を対象とするため施策が中長期化する傾向がある
- 顧客企業1社1社の課題を解決していくためOneToOne施策になる傾向がある
事業特性にもよって傾向は変わるが、上記2つの特徴があることを念頭に、マーケティング戦略を立案していく必要がある。
BtoBとは
BtoBとは「Business to Business」の略語であり、顧客である法人企業に対してサービスや製品を提供するビジネスモデルのことだ。
マーケティングとは
マーケティングとは、「顧客が欲しがっている価値を創出する戦略や仕組み、そしてそのプロセス」のことだ。マーケティングにより、新しい価値や商品・サービスを作り、新しい市場を作り、新しいビジネスを作っていくことができる。マーケティングの4Pフレームワークに当てはめて、マーケティングを定義すれば、マーケティングとは「売れる商品を作る、売れる場所で売る、売れる値段で売る、売れる売り方で売る」ための戦略やプロセス・活動となる。
マーケティングは様々な視点から定義することができるが、本質的には、「新しい価値を作り新しいビジネスを作っていくこと」であると言える。そして、そのマーケティングの究極の目的は、ドラッカー氏がおっしゃっているように、「営業や販売を不要にすること」だ。営業や販売をせずとも、顧客が商品を買うというのがマーケティングの究極の理想である。
BtoCマーケティングとの違い
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの最大の違いは、ターゲットである。BtoBマーケティングでは、主に企業をターゲット(各種団体なども含む)とするが、BtoCマーケティングは個人(一般消費者)をターゲットとする。その他の細かい違いについては、下記の表にまとめているので参考にして欲しい。ただし、商材によっては違いがないこともあるので、あくまで「概ね下記のような違いがある」と考えていただければいいだろう。
項目 | BtoC | BtoB |
購入決定の早さ | 比較的早い | 時間がかかる |
購入決定者 | 購入者本人 | 組織的に決定 |
ニーズ調査 | 定量的 | 定性的 |
顧客関係構築 | 浅い付き合い | 深い付き合い |
市場規模 | 大きい | 小さい |
取引金額 | 少額 | 高額 |
ブランドスイッチ | 容易 | 困難 |
営業戦略との違い
営業戦略(英語:Sales Strategy)とは、自社の営業リソース(人や時間、資金など)を効率よく活用し、効果的な売り方で売上向上とシェア向上を実現する方策のことだ。BtoBマーケティングからみれば、営業戦略は下位戦略となる。主な違いは下記の通りである。
項目 | マーケティング戦略 | 営業戦略 |
戦略階層 | 営業戦略を含む戦略 | マーケティング戦略の一部 |
目的 | 新しい価値を作る、新しい市場を作る | 売ること・シェア拡大 |
策定担当者 | マーケティング部門 | 営業部門 |
業務範囲 | ターゲティング、差別化、価格戦略、商品戦略、営業戦略、ニーズ調査など | 見込み獲得、育成、クロージング、顧客維持など |
営業戦略については、下記のコラムで、営業戦略とは何か?戦略の立て方、立案例・具体例、戦略シートのサンプル、成功事例などを解説している。ぜひ参考にしてほしい。
PDF資料の主な内容
- 戦略とは何か?
- マーケティング戦略立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」とは?
- BtoBマーケティング戦略の立案プロセスとは?
- BtoBマーケティング戦略を作戦に分解するには?
- 作戦の使命を達成する戦術を選定するには?
- 戦術に対して計画を策定するには?
- BtoBマーケティング戦略の俯瞰図サンプルと戦略立案例
- BtoBマーケティング戦略のデジタル活用の取り組み例
- BtoBマーケティング戦略の効果を可視化するKPIツリーサンプル
BtoBマーケティングは何をするのか?「8つの施策」
では、具体的にBtoBマーケティングでは何をするのか?どんな活動をするのか?について詳しく解説する。弊社(株式会社ALUHA)では、BtoBマーケティングを下記のような8つの施策に分解しているため、BtoBマーケティングではこの8つの施策を何らかの手法で実施することになる。
- 顧客のニーズを知る
- 売れる商品を作る
- 見込み顧客(リード)を獲得する(リードジェネレーション)
- 見込み顧客(リード)を育成する(リードナーチャリング)
- 案件化・商談化
- 受注
- 顧客維持
- 顧客満足度調査

BtoBマーケティングサイクル
顧客のニーズを知る
顧客満足度調査や見込み顧客(リード)のニーズ調査で蓄積されたさまざまなニーズを分析し、顧客や見込み顧客(リード)が解決したい課題は何なのか?を知ること。
売れる商品を作る
「解決したい課題」に対して、自社の強みを生かしながら、製品やサービスを開発・改善していくこと。もしくは既存製品・サービスに付加価値をつけていくこと。この段階でマーケティングにおける差別化や競合優位性、独自性などが強化されることになる。
見込み顧客(リード)を獲得する(リードジェネレーション)
開発した製品・サービスの見込み顧客(リード)を獲得すること。展示会、セミナー、電話営業、Webサイト活用などさまざまなマーケティング手法がある。BtoBマーケティングでは、リードジェネレーションと呼称されている。見込み顧客(リード)へのアプローチをどれだけ効率よく行えるか?が重要となる。
見込み顧客(リード)を育成する(リードナーチャリング)
獲得した見込み顧客(リード)に対して、中長期的に接点を構築し、信頼関係を作り上げていくこと。BtoBマーケティングでは、リードナーチャリングと呼称されている。見込み顧客(リード)が解決したい課題を調査(ニーズ調査)し、その解決策の提案(ソリューション提案)なども行う。BtoB企業は購買プロセス・検討プロセスが長いため、中長期的なリードナーチャリングの重要性・必要性は非常に高い。
案件化・商談化
育成した見込み顧客(リード)の中から、確度の高い見込み顧客(リード)を抽出・選定し、案件化・商談化していくこと。BtoBマーケティングでは、確度の高い見込み顧客(リード)を抽出・選定することを、リードクオリフィケーションと呼称している。
受注
案件・商談化した見込み顧客(リード)に対して見積りなどを行い、実際に受注を獲得すること。この段階で見込み顧客(リード)が新規顧客になる。
顧客維持
新規顧客を維持して、優良顧客化していくこと。LTVを高め利益や売上を最大化していくこと。顧客の流出防止のための施策を展開し、購入回数の増加(新規案件の獲得)、購入点数の増加など既存顧客からの売上を最大化する。クロスセル、アップセルを展開していく。
顧客満足度調査
既存顧客に対して、自社の製品やサービスの満足度(良い点や不満点)を調査し、自社製品が持つ課題を明確にすること。
以上がBtoBマーケティングでやるべきことである。
BtoBマーケティングの種類
BtoBマーケティングにはさまざまなマーケティングの種類があるので代表的な種類をご紹介しよう。
BtoBコンテンツマーケティング
BtoBのコンテンツマーケティングとは、自社の顧客や見込み客(リード)に対して、有益なコンテンツ(情報)を提供することにより、新規見込み客(リード)獲得、育成、案件化・商談化、受注獲得、顧客維持、LTV増加・流出防止を実現するマーケティング手法のことだ。有益なコンテンツ(情報)は「デジタルコンテンツ」が中心になることが多いが、弊社では、印刷物などのリアルコンテンツでも良いと考えている。
コンテンツが人の代わりにさまざまな情報を顧客や見込み客(リード)に伝えることで、より効率的な営業やマーケティング活動が可能となる。
BtoBデジタルマーケティング
BtoBのデジタルマーケティング(英語:digital marketing)とは、Webサイト、ECサイト、Eメール、ソーシャルメディア(SNS)、動画、スマホアプリ、スマートフォン、タブレットなど、様々なデジタルコンテンツやデジタルメディア、デジタルデバイスを活用したマーケティング活動のことだ。主にWEBマーケティングとメールマーケティングが活用される。
BtoBWEBマーケティング
BtoBのWEBマーケティングは、主に、新規の見込み客(リード)獲得から育成のあたりで、自社のWEBコンテンツをどう使うか?を考えるマーケティング活動のことだ。目的はWEB経由での新規見込み客(リード)獲得や案件や商談のきっかけを作り出すこととなる。
BtoBメールマーケティング
BtoBのメールマーケティングとは、主に、メルマガ(一斉配信メールやステップメール、シナリオメールなど)を活用したマーケティング活動である。BtoBでは、「見込み客(リード)の育成から案件化・商談化に活用」、「顧客維持活動やLTV向上施策に活用」の2つのシーンで活用されることが多い。主にMA(マーケティングオートメーション)やCRMといったツールを活用してメールマーケティング活動を展開する。
MA(マーケティングオートメーション)ツールについては、下記のコラムで、主な機能、導入メリット、導入のデメリット、活用事例・導入事例、導入手順、BtoBで使えるおすすめツール8選について解説している。参考にしていただきたい。
PDF資料の主な内容
- 戦略とは何か?
- マーケティング戦略立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」とは?
- BtoBマーケティング戦略の立案プロセスとは?
- BtoBマーケティング戦略を作戦に分解するには?
- 作戦の使命を達成する戦術を選定するには?
- 戦術に対して計画を策定するには?
- BtoBマーケティング戦略の俯瞰図サンプルと戦略立案例
- BtoBマーケティング戦略のデジタル活用の取り組み例
- BtoBマーケティング戦略の効果を可視化するKPIツリーサンプル
BtoBマーケティングの31手法
BtoBマーケティングにはさまざまな手法があり、各手法でさまざまなITツールが活用される。上述した「BtoBマーケティングサイクル 8つの施策」別にどんな手法があるのか、どんなツールを活用するのかを下記コラムで詳細に解説しているので、参考にしてほしい。
上記コラムでは、デジタルを活用した手法とツール(WEBサイト、メール、SNS、SEO対策、ホワイトペーパー、WEB展示会、オンラインセミナー、MA、CMS、オンライン広告など)とリアルを活用した手法とツール(電話・飛込営業、定期訪問、DM、展示会など)について解説している。
BtoBマーケティングの4つの最新トレンドと今後の動向
2022年において、最新のトレンドをまとめると下記の4つが考えられる。
- デジタルマーケティング、デジタルコンテンツの活用
- DX推進(営業やマーケティングのデジタルトランスフォーメーション)
- 効果の可視化(KPIツリーやマーケティングダッシュボード)
- ABM(アカウントベースドマーケティング)
さらに、今後、AI活用やデジタル化の範囲拡大、顧客ニーズの一元管理といったトレンドも考えられる。
- デジタル化のさらなる範囲拡大
- AI活用
- 顧客ニーズ(課題や要望など)の一元管理の仕組み
これらの詳細については下記コラムでご紹介している。
フレームワークを活用したBtoBマーケティング戦略と計画の立て方
BtoBマーケティングの戦略を立案するには、戦略立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」を活用して立案するとよい。その立案プロセスを下記のコラムで詳細にまとめている。
上記コラムでは、BtoBマーケティングの戦略・計画の立て方について、戦略立案フレームワークを活用した方法を解説し、その後、具体的な立案例もご紹介している。
BtoBマーケティングの始め方と進め方のプロセス
BtoBマーケティングを始めるには、6つの始め方があり、2つの観点が重要だ。
- 数値(KGIやKPI)の悪い箇所から始める
- デジタルシフトして効率化したい箇所から始める
- 戦略と計画立案から始める場合の始め方とプロセス
- 「顧客満足度調査」「顧客ニーズを知る」「売れる商品を作る」から始める場合のプロセス
- 「見込み客を獲得する」から始める場合のプロセス
- 「見込み客を育成する」から始める場合のプロセス
- 「案件化・商談化」「受注」から始める場合のプロセス
- 「顧客維持」から始める場合のプロセス
始め方にはルールがあるわけではないため、2つの観点と6つの始め方を参考に、あなたにぴったりな始め方を選定していただけたらと思う。詳細は下記のコラムで詳しく解説している。
BtoBマーケティングのデジタル活用成功事例
最後に、BtoBマーケティングのデジタル化に成功したBtoB企業の成功事例をご紹介する。ご紹介するのは、IT企業のアシスト様、製造業のフジモリ産業様、キヤノンマーケティングジャパン様、製造業の山洋電気様、日立ソリューションズ東日本様の5社だ。
各社がどのような取り組みをし、どんな成果を得ているのか、弊社のコンサルティングの成功事例インタビューでお聞きしている。下記コラムで概要を紹介しているので参考にしていただけたらと思う。
PDF資料の主な内容
- 戦略とは何か?
- マーケティング戦略立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」とは?
- BtoBマーケティング戦略の立案プロセスとは?
- BtoBマーケティング戦略を作戦に分解するには?
- 作戦の使命を達成する戦術を選定するには?
- 戦術に対して計画を策定するには?
- BtoBマーケティング戦略の俯瞰図サンプルと戦略立案例
- BtoBマーケティング戦略のデジタル活用の取り組み例
- BtoBマーケティング戦略の効果を可視化するKPIツリーサンプル