飛び込んでも、飛び込んでも断られる!?「飛込営業」のシナリオを改善する5つの手順

顧客ニーズに合致した飛込営業をする方法
Last Updated on 2023年2月18日 by 荻野永策

飛込営業はBtoBの業界ではよく使われる営業方法である。しかし、この営業方法は行き詰まってマンネリ化することが多い。なぜなら、担当者に会うことができても、「いやー、うちはすでに他のを使っているので・・・」「内容はわかりましたが、いまはいらないです・・・」のような理由で断られることが多いからだ。

こうなると、商談化・案件化することはなく、名刺やパンフレットを渡して終わりということになる。あなたが飛込営業しているなら、経験もあるだろう。

そこで、このような状況を解決するために、今回のコラムでは「飛込営業の営業シナリオを改善する5つの手順」についてご紹介する。

なぜこのようなことが起きるか?3つの理由

そもそも、なぜ「飛込営業」は断られるのか?それは3つの理由があるからだ。

理由1「タイミングの悪さ」

1つ目の理由は、「タイミングが悪い」からだ。飛込営業したら、「ちょうどいいタイミングで来てくれたよ。いま、これ欲しかったんだ。いくら?」となることはまずない。さらに、担当者も暇ではないため、飛び込んだ時間帯やタイミングが悪いと相手にすらされない。このタイミングを掴むというのが非常に難しい。

理由2「信頼性のなさ」

2つ目の理由は。「信頼性がない」からだ。経済産業省の統計によると、日本の99%は中小企業である。当然、その中小企業のほとんどが名前すら知られていない。そのような状況で、「株式会社ナニナニです」と飛込営業しても、「誰?」となるのは明白である。飛込営業された側から見れば、「知らない会社の知らない人が突然やってくる」という状況である。このような状況では、「話を聞くのも面倒」となるのは当然である。

理由3「顧客のことを知らなすぎ」

そして最後の理由は、「顧客のことを知らなさすぎ」である。見込み客が何を欲しがっているのか?ニーズはなにか?を知らない状況で、「この商品いりませんか?」と売り込んでも、いらないものはいらないのである。ニーズは何なのか?を把握した上で飛込すべきである。

3つの理由からどうすればよいかを考える

つまり、「タイミングが悪くて」、「信頼性もなく」、「顧客のことを知らない、ニーズがわからない」ようでは、売れるものも売れない。これが飛込営業が断られる理由である。ただ、逆に考えれば、顧客との信頼関係を作り、その上でニーズにあった商品をタイミングよく飛込営業すれば、売れる可能性がぐんぐん高くなるということでもある。

それでは、いよいよこの3つの理由を解決する具体的な手順についてご紹介しよう。

わかりやすく手順を説明するために「例」を設定

飛込営業の営業シナリオを改善する5つの手順をご紹介するにあたり、1つ例をあげながらご説明しよう。くしくも、先日、著者の事務所に「複合機」の飛込営業がきた。

私が対応するなり、

「この地域の営業担当になりました、株式会社**の山田(仮名)です。今日はご挨拶に来ました。御社はどのような複合機をご利用中でしょうか?どこから購入されましたでしょうか?」

と言う。この複合機の営業を例に営業シナリオの考案の手順をご紹介したい。

飛込営業のシナリオを改善する5つの手順

飛込営業のシナリオを改善する5つの手順は、下記の通りである。WEBマーケティングを得意とする弊社ならではの手順である。

手順1「検索キーワード分析から用途をつかむ」
手順2「用途から課題を、課題からニーズを見つける」
手順3「課題の解決方法を提供し3つの理由を解決する」
手順4「飛込営業用のツールを作る」
手順5「飛込営業のターゲットを決め、目標を設定し実行する」

手順1、2で飛込する前に顧客ニーズをある程度つかみ、手順3で飛込営業の営業シナリオを組み立て「3つの理由を解決する売れるシナリオ」を作り出す。そこまでできたら、手順4で飛込営業で使うツールを準備し、手順5でいよいよ実行開始となる。

この手順で飛込営業のシナリオを改善すると、名刺やパンフレットを持って、ひたすら飛び込むのではなく、ニーズをつかみながら、信頼性を築き、タイミングを見て売るという営業シナリオを実現できる。

それでは、山田さんに登場してもらいながら、1つ1つ手順をご紹介しよう。

手順1「検索キーワード分析から用途をつかむ」

最初は「検索キーワード分析から用途をつかむ」である。

用途を調べる方法の1つとして「インターネットの検索キーワード分析」がある。インターネットはgoogle、Yahooといった検索エンジンに、検索したいキーワードを入力して情報を得ることができる媒体である。つまり、この検索キーワードには、「検索者の知りたい情報のニーズ」が隠されているのである。それをうまく活用して、用途を分析するのだ。

例えば山田さんの場合、彼は「複合機」を売っている。そこで、googleで「複合機」と検索してみよう。すると下記のようにいろんな検索キーワードの候補をgoogleが表示してくれる。

googleの検索補助機能「サジェスト」

これは、googleの検索補助機能の1つで、「サジェスト」と呼ばれているものだ。上記の場合は、「おすすめ」「価格」「リース」などがあるが、これらのサジェストには、複合機について検索者が知りたいことが含まれている。そのため、複合機の何について知りたいのか?という情報ニーズをサジェストから読み解くことができる。

まずはこの「サジェスト」の一覧表をエクセルで作ろう。作り方は簡単である。下記の「GoodKeyword」をというサイトにアクセスし、入力欄に「複合機」と入力後、googleサジェストを選択して、検索をクリックするだけだ。

goodkeyword

しばらくすると、下記のような画面になる。

サジェスト一覧画面

上記の画面の右側に[表示されたキーワードをすべてコピー ※重複キーワードは削除済]という欄があるので、そこにあるキーワードを全て選択し、コピーした後、エクセルに貼り付けよう。すると、下記のようにサジェスト一覧が手に入る。

サジェスト一覧のエクセル

このサジェスト一覧ができると、1つ1つ目を通して、複合機の用途を見つけよう。ざっと見ていくと、例えば、「複合機 チラシ」などがある。この場合、「複合機をチラシ印刷に使っている」と想定することができる。

手順1では、このサジェストを使って、あなたの商材の「用途」を見つけ出そう。

手順2「用途から課題を、課題からニーズを見つける」

用途を見つけたら、次は課題とニーズを見つける。上述の山田さんの例では、「複合機をチラシ印刷に使っている」ということがわかった。そこで、そこから、課題を見つけ出す。課題を見つけるのも、サジェスト分析で手がかりを得よう。山田さんの場合、用途は「チラシを印刷すること」であるので、「チラシ」でサジェスト分析をするとよい。すると下記のようになった。

チラシのサジェスト

この段階でのポイントは、サジェストの中に「悩みにつながるワード」があるかどうかを調査してみよう。上記の場合であれば「デザイン」「作り方」「効果」などが悩みにつながるワードとして考えられる。

つまり、ここまでの分析で、見込み客は、複合機をチラシ印刷に使うことがあり、その悩みとして、チラシ印刷の効果やデザインで悩んでいる可能性が高いということがわかった。その結果、「効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法」がニーズとしてあるのではないか?と分析できる。

なお、商材によってはキーワードから「用途」を分析できないことがある。そうすると課題とニーズ分析ができなくなるので、そのような場合は、既存客から用途を聞き出すことを検討しよう。もしくは御社がすでにつかんでいる用途があるならそれをベースに課題とニーズを分析してもよい。

ここまでの手順で重要なのは、「効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法」というような、見込み客の情報ニーズを見つけ出すことである。その手段は検索キーワードでなくてもよい。

手順3「課題の解決方法を提供し3つの理由を解決する」

ニーズが分析できたら、ニーズを満たす方法を考えよう。山田さんの場合、「効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法」がニーズであるので、それを満たすには、下記のような方法が考えられる。ここはアイディア力が問われる部分だ。

  1. デザインで悩んでいる見込み客にデザインアイディア例(チラシのテンプレート)のようなものをプレゼントする
  2. 集客に成功したチラシの秘訣をネットで収集しそれを印刷してプレゼントする
  3. チラシのデザインで使える無料の素材(写真やイラスト、アイコンなど)をプレゼントする

すぐできそうなもので言えば、(2)などはやりやすい。ネットで「効果のあるチラシの作り方」のようなブログ記事を探し出し、それを印刷してプレゼントすればよいからだ。

ここまで具体化できたら、飛込営業の最初のトークシナリオを下記のように改善する。

「こんにちわ。この地域の営業担当になりました、株式会社**の山田(仮名)です。今日は、ご挨拶がてら、効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法という資料をお持ちしました。無料プレゼントしていますので、複合機を管理されているご担当者様はいらっしゃいますでしょうか?」

こうすれば、売り込みくささがなくなり、担当者に会える可能性が高くなる。なぜなら、サジェスト分析で「悩んでいる可能性が高い」ことがわかっているからだ。

そして担当者に会えたら、

「株式会社**の山田(仮名)です。今日は、ご挨拶がてら、効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法という資料をお持ちしました。無料でいろんな方にプレゼントしていますので、よかったら今後活用してください。」

と言って資料を渡す。

そして続けて「よければ、また近くに来ましたらこんな資料お持ちしますので、お名刺だけでも頂戴できませんか?お名刺いただければ、今日はお忙しいかと思いますのですぐに帰ります」と言って名刺をもらおう。これで初回訪問は完了だ。

このような飛込みであれば、初回で売れることはないが、断られる可能性は低くなる。そもそももともと初対面で売り込んだって売れないのだから、最初から売る必要もないのである(笑)。

では、初回飛び込みの後はどうするか?その後は定期的に「効果のあるチラシの作り方」や「デザイン事例集」などをネットで探してはプレゼントすると言うようなことをしばらく続ける。世間話が軽くできるようになるまで続けることを目標にしよう。

相手が「いつもありがとね」とか「今日は暑いし、茶でも飲んでく?」など言ってくれれば第一段階突破である。そこまでいったら、信頼関係もある程度出来上がっているので、3つの理由のうちの1つは解決だ。

後はタイミングと相手の具体的なニーズを掴むことである。

これも、世間話の中で聞き出すことができる。例えば、お茶でも飲みながら、「いつも、チラシのノウハウの資料差し上げていますが、役立ってますか?」と聞く。そして、「そういえば御社の複合機ってどういうものなんですか?」と複合機の話題を振る。そこから、メーカーや購入時期を聞き出そう。そして、「5年リースですか?」といって購入方法も聞き出そう。そうすれば、メーカー、機種、リースが終わる時期がわかる。

リースの完了時期がわかると「いつ頃複合機の提案をすべきか?」がわかり、タイミングがつかめる。さらに、チラシ以外にどんなものを印刷するか?などのような話から、普段の活用目的、枚数などが把握できれば、細かいニーズも把握できることになる。

相手の悩みを解決する「効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法」という資料から、ニーズ・タイミング・信頼性の3つを勝ち取り、そして将来の提案につなげる、これが基本の営業シナリオとなる。

手順4「飛込営業用のツールを作る」

ここまでシナリオが組み立てられたら、いよいよツールの準備に入る。手順3のイメージで必要な各種ツールを用意しよう。

山田さんの場合は、「ネットで情報を集め、効果のあるチラシの作り方がわかるサイトを印刷する」ことと、「何度か訪問した時に、どんな内容を聞き出せば、タイミング、ニーズを把握できるかの質問シート」を作っておけばよいだろう。

ただし、1つ注意点がある。山田さんの場合、ネットの情報を印刷して配布するという手法を取っているが、ちゃんと印刷したWEBサイトの管理者に許可を取ろう。勝手に買うのはビジネス上よくない。

ツールの準備ができたら、全体のシナリオの流れを下記のようにまとめて頭に叩き込むと良い。

  1. 初回対面では「効果の出るチラシを複合機で印刷できるコツ」という資料はいりませんか?と飛び込む。その時、また近くに来たらお持ちしますので名刺くださいという。初回はこれで帰る
  2. 「効果・デザイン性の高いチラシを複合機で印刷する方法」を何度か担当者に持っていく。名刺があるので、2回目以降はアポを取ると良い(*日に御社近くに行きますので、また「効果の出るチラシを複合機で印刷できるコツ」の新しい資料があるんですけど、お持ちしてもいいですか?とアポイントをとる)
  3. 世間話から、複合機のメーカー、機種名、リースの終わる時期、活用目的、台数など必要な情報を聞き出す
  4. リースの終わる頃合いに、複合機の提案をする、そして売り込む。

これが飛込営業の営業シナリオになるだろう。

手順5「飛込営業のターゲットを決め、目標を設定し実行する」

さぁ、いよいよツールが準備できたら、飛込営業を実行する。ここで注意が必要なのは、今自分の手元に何があるか?を再度認識することだ。山田さんの場合は、「効果のあるチラシの作り方」という情報の武器がある。

これを欲しがる相手に「飛込営業」しなければ武器が役に立たない。つまり、チラシを複合機で印刷するような企業はどこか?を考えて飛込みするのである。山田さんの場合は、不動産会社、飲食店、美容室など来店型の店舗が可能性が高い。そのため、不動産会社、飲食店、美容室を中心に飛込みをするのが効果的だ。

そうすれば手元の武器を活かすことができる。逆に工場・病院などに飛び込むと「不要」と言われる可能性が高いだろう。このように手元の武器にあわせて顧客を「選ぶ」ことが、「強みを生かす」ことにつながるのである。

飛び込んだら、手順3でイメージした通りに実行するだけである。

ちなみに、町の不動産屋、飲食店は多数あるので、改善したシナリオを実行し、見込み客を例えば60社作ってみよう。つまり、60社に飛込み、名刺交換をするのである。複合機を5年リースとしたら、5年に1社はリースが完了する。5年は60ヶ月。60社見込み客があれば、毎月1社、商談化が発生する計算になる。120社作れば、月2社商談化となる。このような計算をベースに目標名刺枚数を設定しよう。

このようなやり方であれば、今の飛込営業を大きく改善できるのではないだろうか?

まとめ

WEBマーケティングのニーズ分析の基礎を飛込営業のシナリオ改善に生かした手順をご紹介した。

手順1「検索キーワード分析から用途をつかむ」
手順2「用途から課題を、課題からニーズを見つける」
手順3「課題の解決方法を提供し3つの理由を解決する」
手順4「飛込営業用のツールを作る」
手順5「飛込営業のターゲットを決め、目標を設定し実行する」

この5つの手順で飛込営業のシナリオを改善すると、名刺やパンフレットを持って、ひたすら飛び込むのではなく、ニーズを掴みながら、信頼性を築き、タイミングを見て売るという営業シナリオを実現できる。

あなたの商材でもできるはずだ。一度シナリオの改善に挑戦してみてはいかがだろうか?もし、近日中に営業会議があるなら、この記事、下記の「PDFアイコン」でPDF化できるので、印刷して会議に活用していただければと思う。(平成27年6月8日 株式会社ALUHA WEBマーケティングコンサルタント 荻野永策 http://btobmarketing.aluha.net/


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