経営者や責任者は、経営戦略、事業戦略、マーケティング戦略、営業戦略、商品戦略、人事戦略といった様々な戦略を立案する。このコラムでは、そもそもビジネスにおける戦略とは何か?戦術との違いは何か?、戦略立案するにはどうすればいいか?と立案フレームワークについて解説する。
この記事の目次
戦略とは?
戦略(英語:strategy)とは、ビジネスの目的に対して、長期的視野で、自社が持っているリソース(人・物・金など)を総合的に活用する方策のことだ。わかりやすく言い換えれば、「今ある自分(自社・自部門)が持っている力をうまく活用して、やりたいことを実現する方策」のことといえる。
wikipediaでも、下記のように定義されているため、「目的を達成するためのリソースの使い方を考えること」が戦略といえるだろう。
戦略(せんりゃく、英: strategy)は、一般的には特定の目的を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・応用科学である
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E7%95%A5
ビジネスにおいて戦略は、組織の進むべき方向性を示すこととなり、戦略がなければ、従業員や部下はバラバラに活動してしまい、烏合の衆となってしまう。組織が持っている力を最大限に発揮できなくなるのである。
戦術とは?
戦術(英語:tactics)とは、「戦略を実現するための具体的な手段・方法」のことだ。戦略の目的を達成するためには、「やらなければならないこと」が無数にあり、それらを具体的にどんな方法で実現するのか?が戦術である。このため、戦略の中には複数の戦術があり、複数の戦術の集合体により戦略の目的が達成されることになる。
戦略と戦術の違い
戦略と戦術は、戦略の中に戦術が含まれるため「思考階層」が違う。例えば、「乗り物と車の違いは?」という比較に近いものがある。「自転車と車の違いは?」のように明確な違いを定義することは難しい。そのため、思考階層が違うとしか言えない。
戦略と戦術の俯瞰図

戦略と戦術の俯瞰図
戦略と戦術を俯瞰すると、上記の図のようになる。戦略には目的があり、その目的を達成するための具体策が戦術だ。その戦術を実行するために自社のリソースをどう使うか?を考えることが戦略である。
戦略の目的に対して、自社のリソースを投資・投下することになるため、戦略立案には費用対効果の確認(数値での効果分析)、PDCAによるリソースの使い方の改善が求められる。
戦略を立案するには?
戦略を立案するには、戦略立案のフレームワークを活用するとよい。戦略立案のフレームワークとして「作戦・戦術・計画」フレームワークをご紹介しよう。
「作戦・戦術・計画」フレームワークは、弊社が自社やお客様の戦略を立案する際に活用しているフレームワークだ。さまざまな情報や考え方を参考に整理し「作戦・戦術・計画」フレームワークと弊社では呼称している。
「作戦・戦術・計画」フレームワークは、その名の通り、戦略を下記の3つに分解して立案する。
- 作戦
- 戦術
- 計画
作戦とは、「戦略の目的を達成するために実現しなければならないこと」である。戦略には目的があるが、その目的を達成するためにやるべきことがあるはずだ。それが作戦である。当然、作戦というからには「使命」があり、この使命を全て達成することで、戦略の目的も達成される。戦略と作戦・使命を図解化すると下記のようになる。

戦略と作戦・使命
戦術とは、「作戦の使命を実現する方法論」のことである。どんな武器を持ってどう戦うのか?を決めることになる。作戦の使命に対して、どんな戦術が最適なのか?自社のリソースを効率よく活用できる戦術は何か?長期的な時代の流れからどのような戦術がよいか?などを分析しながら、最適な戦術を選定する。下記図のように、作戦・使命によっては、戦術は1つで足りることもあれば、複数必要になることもある。

戦略・作戦・戦術
計画とは、戦術をいつまでにやるのか?誰がやるのか?を決めることである。戦術があっても、そこに時間軸と担当者がなければ戦略を具体的に実行できない。アクションプランとも言われるものだ。
また計画では、戦略・戦術のPDCAも検討しなければならない。戦術を実行した結果、どうなったのか?の効果分析により、作戦の使命がしっかり果たされているか?の確認を継続的に行い、問題のある作戦・戦術にリソースを集中投下し改善することで、戦略目的をいち早く達成できるようになる。
営業戦略・マーケティング戦略の立て方
では、ここから実際に、具体的な戦略立案を進めてみよう。弊社はBtoBの営業戦略の立案、BtoBマーケティング戦略の立案が得意であるため、営業戦略とBtoBマーケティング戦略を例にご紹介する。特に最近では営業やマーケティングのデジタル化も活発であるため、デジタルマーケティング戦略(デジタル活用)も含めた戦略立案となっている。
営業戦略の立て方
「作戦・戦術・計画」フレームワークを活用した営業戦略の立案プロセスについては、下記のコラムが参考となるため、ぜひ参照して欲しい。下記コラムでは、営業戦略とは何か?各種戦略との違いから、策定、PDCAの回し方について詳しく解説している。主に下記のような策定手順を詳しくご紹介している。各種戦略立案のためのパワポテンプレート、営業アクションプランのエクセルテンプレート、PDCAレポートのテンプレート、営業戦略俯瞰シートのサンプルなども入手可能である。
- 営業目標を決める(KGIとKPI)
- 営業戦略に必要な事前分析を行う
- BtoBの営業戦術・営業方法として何があるのかを理解する
- 戦略立案フレームワークを使って営業戦略を立案する
- 営業戦略を営業アクションプランに落とし込む
- 営業アクションプランに従い営業活動を展開しPDCAを回す
- 営業目標(KGI・KPI)の決め方
- 立案の前にやっておくべき競合・市場分析などの5つの分析
- 営業戦略の立て方(立案用パワポテンプレートと戦略俯瞰シートサンプル付き)
- デジタルも含めたBtoBの営業戦術一覧と戦術別の主なKPI例
- アクションプランの策定方法(エクセルテンプレート付き)
- PDCAの回し方(KPIツリーのテンプレート付き)
- デジタルを活用した戦略立案の具体例
- 営業デジタル化(営業DX)のメリット・ポイントと取組事例
BtoBマーケティング戦略の立て方
「作戦・戦術・計画」フレームワークを活用したBtoBマーケティング戦略の立て方については、下記のコラムを参照してほしい。BtoBマーケティングを8つの作戦(施策)に分解し、そこから戦略立案を進めている。