製造業「フジモリ産業株式会社様」のデジタルマーケティング成功事例

SEO対策をせずにCVRを5倍に

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様」

フジモリ産業株式会社は「プラスチック」と「建材」という2つの大市場で活躍するメーカー。もともとWebサイトを使わずに営業活動で顧客を獲得していたが、いくつかの問題があった。そんななかで出会ったのが株式会社ALUHAだ。フジモリ産業がALUHAのサポートでWebサイトを改良すると翌月には効果があらわれ、問い合わせが5倍に跳ね上がった。いったいどんな施策を打ったのだろうか。コンサルティングの具体的な内容とともに話を聞いた。

取材協力
フジモリ産業株式会社 取締役 化成品事業部 事業部長 上野裕樹氏
フジモリ産業株式会社 化成品事業部 ライフサイエンス課 課長 包装管理士 松谷直樹氏

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様 全体写真」
左から荻野、松谷氏、上野氏


日本初の製品を持つフジモリ産業株式会社

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様概要」フジモリ産業株式会社 取締役 化成品事業部 事業部長 上野裕樹氏

フジモリ産業株式会社は1951年3月に設立された老舗メーカー。主に「プラスチック」と「建築・土木」の分野で活躍している。ALUHAのコンサルティングを受けているのは、このうちプラスチックを扱う化成品事業だ。具体的にはどのような製品を扱っているのだろうか。

「主に扱っているのは容器や包装用の袋です。たとえばお酢やお醤油、お水などを入れる容器、医療品や精密機器、レトルト食品を入れる袋などがわかりやすいでしょうか。容器や袋のなかに物を入れるための充填機も開発しています」(上野氏)

こうした製品を支えているのが、「ラミネーティング」「コーティング」「モールディング」という3つの技術だ。

「ラミネーティングはプラスチックのフィルムを貼り合わせる技術です。先ほどお話ししたように、レトルト食品の袋などに使います。コーディングはある素材に別の素材を塗る技術。たとえば一般的にシールのはく離紙にはシリコンがコーティングされています。だから誰でも簡単にはがせるわけですね。最後のモールディングはプラスチックを成形する技術です。これはペットボトルやポリエチレンボトルを加工するために使います」(松谷氏)

これら3つの技術で作られる製品のなかに、藤森グループが日本ではじめて扱いはじめたものがある。それが「キュービテーナー」だ。

「キュービテーナーは私たちの液体容器のメイン商品です。もともとはアメリカの製品なのですが、藤森グループが50年以上前にその技術を日本に持ち込みました。特許を取得しており、いまも50%以上のシェアを持っています」(上野氏)

キュービテーナーには一番大きなもので20リットルの容量のものがあるが、液体が入っていないときには折りたたむことができる。その分だけスペースを圧縮できるので、輸送コストを削減できるうえ簡単に廃棄できるのが魅力だ。


コンサルティングを受ける前の営業方法

高い技術力で65年以上にわたり活躍を続けるフジモリ産業。ALUHAと共にデジタルマーケティングに取り組む前は、どのような手法で営業していたのだろうか。

「これは今もやっていることですが、お客様になっていただけそうな企業の代表電話からアポイントを取っていました。そこから担当の方につないでもらい、案件化していくわけです。1度の訪問で案件化できることもあれば、何度も訪問してようやくキーマンにたどり着くケースもよくありました。ただ、通い続けるうちに別の案件につながることがあるので、その点ではいいやり方だと思っています」(松谷氏)

まさに「王道」とも言える営業方法だが、これには大きな意味があるという。

「人は同じ人と繰り返し接すると、だんだんと好感を抱くようになるものです。これを『ザイアンス効果』といいます。確かにお客様としても、2、3回しか会ったことのない営業に会社の悩みや問題を話す気にはならないでしょう。営業自らが何度も出向いて、顔を合わせる機会を増やすのは大切なことだと思っています」(上野氏)

フジモリ産業株式会社 化成品事業部 ライフサイエンス課 課長 包装管理士 松谷直樹氏

その一方で、この方法には問題も感じていた。

「アポを案件化できるかどうかが『タイミングに左右されること』が問題でした。お客様が私たちの商品を求めているときにアポを取れれば、すぐに具体的な商談に入れます。そうでない場合は、そのタイミングが来るまで通い続けなければなりません」(松谷氏)

確かに顧客が製品を求めているタイミングでアポを取れなければ、商談に入るまでに時間がかかってしまう。ザイアンス効果を考慮に入れても、営業にとっては辛い期間だろう。また、フジモリ産業が扱っている製品特有の問題もあるという。

「私たちはニッチな製品を扱っているため、代表電話に出た方に理解してもらえないというもどかしさもあります」(松谷氏)

代表電話から担当者につないでもらうには、まずは受付担当者に製品について理解してもらう必要がある。フジモリ産業の製品には一般の消費者にはわかりづらいものも多くあるため、これが難しいようだ。

ALUHAが出したアイディアとは

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様概要」上野裕樹氏

従来の営業方法に問題を感じていたフジモリ産業は、Webサイトを使った新しい道の開拓を決めた。

「もともと弊社にはWebサイトからの問い合わせが月1~2件程度はありました。従来の営業方法が悪いとは思っていないのですが、Webサイトからの問い合わせをもっと増やせないかと考えたのです」(松谷氏)

このときにコンサルティングを依頼したのがALUHAだった。具体的にはどのような話し合いになったのだろうか。

「荻野さんからさまざまなアイディアを出していただきました。たとえば過去にお客様にお渡しした提案書を『事例』としてダウンロードできるようにする方法。私たちの仕事は容器や袋をお客様と一緒に開発することです。この方法ならどんな過程で製品ができるのかを理解できるので、安心してご注文いただけると考えました。ただ守秘義務上の問題があるのではないかということで、この案は実現しませんでした」(上野氏)

これ以外にもさまざまなアイディアがあったが、最終的には2つの施策を打つことになった。

「すべての製品ではないのですが、サイト上で製品のサンプル請求ができるようにしました。またサイト自体のデザインや文章、写真も変えましたね。荻野さんがサイトのワイヤーフレーム(設計図)を作ってくださったので、私たちはその通りに改良しました」(上野氏)

シンプルでわかりやすいたった2つの施策。これが営業成果の劇的な変化につながった。


Webサイト改善からわずか1か月で成果

サイト改善は2017年10月末。成果はその直後にあらわれた(右グラフ参照)。

「リニューアル前の問い合わせ数は、月に1~2件ほどでした。ところが11月にいきなり5件、12月に8件の問い合わせがあったのです。結局、翌年10月までの1年間で60件ほどになったでしょうか。これはすごい成果だと思います」(松谷氏)

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様概要」
松谷直樹氏

確かにデータからも申し込み件数が増加しているのがよくわかる。実はこのとき「製品が特定業界を対象にしたマニアックなもので検索キーワードがない」という理由から、SEOの対策はしていない。つまりサイトへのアクセス数が変わらない状況で、申し込み件数だけが増えた(コンバージョン率が改善した)ということになる。ここまでの成果を予想していたのだろうか。

「私たちは荻野さんが出してくれたアイディアの一部しか実現できていないんですよ。もちろんおっしゃることを全てやればすごい成果が出そうだとは思っていたのですが、私たちの力としてはそういう段階ではなかったんですね。こうした状況のなか、どこまで成果が出るのだろうという疑問はありました」(上野氏)

成果は想像以上に大きかったようだ。ただ、いくら申し込み件数が増えても、売り上げにつながらなければ意味がない。年間60件の問い合わせは商談になっているのだろうか。

「ほぼすべて商談につながっています。サンプル請求があれば郵送せずに持参して面談しますし、簡単な案件であればすぐに仕事になることもあります」(松谷氏)

また上野氏によれば、問い合わせ件数が増えたことよりもさらにいいことがあったという。

「私としては問い合わせの質が上がったことが嬉しかったですね。これまではアポを取れなかったようなお客様から、お問い合わせをいただくこともあります。それもいきなり商談のキーマンからです。こうしたお問い合わせは、当然受注につながりやすくなります」(上野氏)

Webサイトからの問い合わせは、顧客側からの積極的な働きかけだ。解決したい問題がはっきりしている分だけ、成約につながりやすいのだろう。このように問い合わせの質まで向上したのはコンサルティングの大きな成果だ。

もう一つ、社内の営業体制にも好ましい芽が出つつあるという。

「現在のところ、サイトを使った営業活動は上野と私の2人だけでやっています。しかし成果が出たことで、社内で少しずつ評価されるようになってきました。実はサイトでの集客を望んでいる社員はいるんだと思うのですね。今後さらに大きく展開するときには、協力してくれる人が出てくるのではないかと考えています」(松谷氏)

どんなものであろうと、はじめての取り組みはあらゆる意味で注目されるもの。いい結果が出たことで協力的な雰囲気になりつつあるようだ。

フジモリ産業の今後の展望

フジモリ産業のデジタルマーケティングは、これまでのところ成功していると言える。今後、Webのみの営業戦略に切り替えることはあるだろうか。

「いまのところ、それはありません。私たちの仕事は製品を売ることですが、その前にお客様が困っていることを見つけることだと思っています。サイトではこれができないのです。営業の地道な活動とWebでの集客を両輪に、営業活動を続けていくべきだと考えています」(上野氏)

この2つの活動を並行するなかで、どのようにサイトを活用していこうと考えているのだろうか。

「リニューアルから2年ほど経って、確かに問い合わせ件数は増えました。その一方で伸び悩みも感じています。製品も営業も進化していますから、サイトも進化しなければいけません。そのためにも、まずは掲載する製品を増やしたいですね。また当初実現しなかった事例も掲載できればと考えています」(松谷氏)

さらに情報を届ける相手を広げていきたいと、上野氏は語る。

「海外のお客様へのコンタクトも目標にしています。現在、問い合わせはありますが、数年前の国内と同じで形になっていません。海外のお客様に私たちフジモリ産業の製品を見つけてもらえるサイトにしたいと考えています」(上野氏)

サイトを通じて海外にも情報を届けられれば、活動の幅が一気に広がる。

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様概要」上野裕樹氏


BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様概要」松谷直樹氏

データと事例をベースにしたコンサルティングがALUHAの魅力

BtoBデジタルマーケティング成功事例「フジモリ産業様概要」左から松谷直樹氏、上野裕樹氏

最後に、ALUHAと共にWebサイトの戦略を立ててきた感想を聞いた。

「データに基づいて話していただいたのがよかったですね。私や松谷が漠然と『まあ、こういう感じなのだろう』と思っていたことを数字で示してくれるわけです。『実態はこうですよ』と突きつけられると、手を打たないわけにはいかなくなります」(上野氏)

データをエビデンスにしたコンサルティングは、ALUHAの根幹だ。一方の松谷氏は、別の魅力を挙げる。

「事例が多いのもいいですね。過去に効果的だった事例があれば、私たちも同じような効果を期待できます。難しいことも懇切丁寧に教えてくれるので、安心して一緒に仕事をできました」(松谷氏)

フジモリ産業とALUHAはさらに大きな成果を目指し、対策を講じていく予定だ。


荻野から一言

フジモリ産業さんにはさまざまなご提案をさせていただきましたが、社内の課題が壁となって実行に移すのに少し時間がかかりました。しかし、弊社からの提案に対して「できない」ではなく「こういう風にならできるのでは?」など代案を出していただけ、歩調を合わせて改善に取り組むことができました。ご苦労もかけてしまったこともあるかとは思いますが、成果を出すことができて大変嬉しく思います。

今後は弊社と一緒に、グローバル市場に向けたデジタルマーケティングに取り組んでいただければと思っています。取材インタビューへのご協力、ありがとうございました。

BtoBデジタルマーケティング成功事例「ALUHAから一言」


お客様ご紹介

社名 フジモリ産業株式会社(Fujimori Sangyo Co.,Ltd)
設立 昭和26年3月2日(1951年)
本社 〒141-0022 東京都品川区東五反田2丁目17番1号 オーバルコート大崎 マークウエスト9F
代表取締役会長兼社長 藤森 行彦
資本金 3億320万円
従業員数 240名 ※2019年4月1日現在
事業内容 プラスチック原料・製品並びに関連機械の国内販売及び貿易
建築・土木工事用資材の製造・販売並びに工事